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ホーム全日病ニュース(2020年)第970回/2020年9月1日号新型コロナと通常の2本立てで税制改正要望を提出

新型コロナと通常の2本立てで税制改正要望を提出

新型コロナと通常の2本立てで税制改正要望を提出

【四病協】医療機関への補助金の非課税化など求める

 四病院団体協議会は8月19日、加藤勝信厚生労働大臣に2021年度税制改正要望を提出した。新型コロナの感染拡大を踏まえ、通常の要望と新型コロナ関連の緊急要望の2本立てとした。通常の税制改正で15項目、新型コロナ関連で4項目の要望を行った。
 新型コロナ関連ではまず、医療機関に給付される補助金を非課税にすることをあげた。医療機関の経営状況が悪化し、病院は財政的補助を期待している。その補助について、すでに給付された補助金に遡って非課税とすることを求めた。国民や企業からの寄附を非課税とすることも、過去に遡って適用すべきとしている。
 医療機関などに対しては現在、1年間に限り、税や社会保険料の支払いが困難な場合の猶予措置がある。2つ目に、これをさらに長期間、延長することを要望した。
 3つ目に、2022年1月31日まで中小企業を超えて対象が拡大された欠損金の繰戻還付制度について、すべての法人が利用できるようにするとともに、遡って法人税の還付請求ができる期間を5年程度に拡充することを求めた。地方税も同様の措置とし、欠損金の繰越期間も延長すべきとしている。
 感染症対策で支出が増加している人工心肺装置やマスク、防護具、消毒薬など設備投資・消耗品は、緊急的に資金的裏づけのないまま購入したものである。このため、4つ目として、即時償却や税額控除、償却資産税の全額免除、消費税相当額の補助など税制優遇措置を要望した。
 5つ目は、医療機関を運営する財団法人が、2期連続で純資産が300万円になった場合に、自動的に解散手続きが取られることに対しての要望。医療機関を運営する一般社団法人または公益財団法人は全国に200法人程度あるとされ、地域医療を担っている。このため、即座に解散となる法の運用について、5年程度の猶予を求めた。

再編統合での税の不公平是正求める
 通常の税制改正要望の項目の多くは例年と同様だ。控除対象外消費税問題の抜本的解決をはじめ、事業税の特例措置の存続、法人の特殊性を踏まえた優遇税制の拡大・要件緩和など幅広く15項目を整理し、要望している。
 控除対象外消費税問題については、消費税が10%に上がり、さらなる引上げも想定される中で、「医療機関の経営破綻を防ぎ、医療体制を維持・確保するためにも、この問題を抜本的に解決する必要がある」と強調している。
 消費税が10%に上がった2019年10月に診療報酬改定が行われ、急性期病院に対する一定の配慮がなされた方式で、診療報酬に対する補てんが行われた。しかし、「画一的補てん方式には、個々の医療機関の仕入税額が考慮されていない。どれほど補てん方式を精緻化しても、税負担の不公平性は解消し得ない」と指摘。社会保険診療報酬に対する消費税を原則として課税に改め、仕入税額控除を認めることを主張した。
 地域医療構想関連では、「医療機関同士での再編統合による資産等の取得を行った場合における不動産取得税および登録免許税の減免措置」を要望した。現状では、公立・公的病院同士、または公立・公的と民間病院が再編統合した場合は、取得した資産の不動産取得税等は非課税とされる。
 しかし、民間同士の再編統合、または公立・公的と民間が再編統合し、民間が運営主体となった場合は、不動産取得税が課税されるという不公平がある。このため、病院は民間を含め、基本的には非営利の運営であることを踏まえ、地域医療構想を推進するため、病院同士で再編統合を行う際の必要な土地、建物の取得において、不動産取得税等の減免措置を講じることを要望した。

 

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