全日病ニュース

原価計算方式の営業利益率の適切性に厳しい指摘

【中医協・薬価専門部会】
正確性・透明性の徹底求める

　中医協の薬価専門部会（中村洋部会長）は４月12日、薬価制度の抜本改革に向け、原価計算方式について議論した。抜本改革では、原価計算方式の正確性・透明性が求められている。この日は、厚生労働省が原価計算の詳細を説明。診療側・支払側双方の委員から医薬品の特性に配慮した価格設定に、疑問の声が上がった。特に、平均的な営業利益率を14.6％としていることへの指摘が相次いだ。
　新薬の薬価算定方式には類似薬効比較方式と原価計算方式があるが、比較薬がない場合は原価計算方式で算定することになる。原価計算方式に対しては、これまでも中医協で様々な指摘があり、累次の改定を行ってきた。しかし薬価制度抜本改革の中で、正確性・透明性を徹底し、根拠の明確化や薬価算定プロセスの透明性向上を図ることが課題となっている。
　原価計算方式では、薬価を「薬価算定単位あたりの製造販売に要する原価に一般管理販売費、営業利益、流通経費並びに消費税および地方消費税相当額を加えた額」として計算している。
　一般管理販売費は、企業全体の費用として発生するもので、個別品目に要する費用として把握するのは不可能であるため、一定の比率を上限に設定している。研究開発費は一般管理販売費に含まれており、承認に必須の開発費のみを評価するという考え方に基づき、査定が行われる。
　営業利益率は、平均的な営業利益率（14.6％）から既存治療と比較した場合の有効性などの程度に応じて、－50％～＋100％の範囲内とする。なお、営業利益率の補正率は、公開した基準によるポイント制で定量的に算出した加算率を参考に決定している。
　厚労省は仮想例を提示。516円と算定された原価計算方式の薬価の内訳について、◇製品製造原価200円◇一般管理販売費180円◇営業利益65円◇流通経費33円◇消費税38円とした。製品製造原価と一般管理販売費を合わせた製品総原価は380円。製品総原価に営業利益を加えた製造業者出荷価格は445円となる。
　これらを踏まえた上で、厚労省は医薬品の原価計算方式を考える留意点として、◇医薬品を上市することの成功確率が極めて低い◇売上高に対する研究開発経費比率が他の産業に比べて、突出して高い◇極めて成功確率が低い状況の中で、承認申請や個人情報保護の費用以外は評価されないことを示し、配慮を求めた。また、原価計算方式の加算は、類似薬効比較方式と違い、価格全体ではなく、平均的な営業利益率に対する補正として行われるため、限定的な評価であることなどを補足した。
　現状の原価計算方式に対しては、診療側・支払側双方から厳しい指摘が相次いだ。特に、平均的な営業利益率を14.6％としていることに批判が集中。
　「一般的な企業の営業利益率は７～８％程度だ。リーマンショックの時期は４％程度に下がった。製薬の優良企業でも18％程度だったはず」、「14.6％は製薬の優良企業のデータを参考にしている。全製薬企業を対象とした調査を用いれば、もっと下がる」などの意見が出た。製薬企業の特性に配慮すべきとの厚労省の説明にも、疑問とする発言があった。
オプジーボのＧＬと通知を了承
　同日の中医協総会で、腎細胞がんと古典的ホジキンリンパ腫に対するニボルマブ（遺伝子組換え）（販売名：オプジーボ）の最適使用推進ガイドラインと留意事項通知を了承した。通知の発出日は４月18日とした。医療施設や医師の要件は、他の適応に準じる。