全日病ニュース

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高生産性・高付加価値の医療を実現するための方策を提案

高生産性・高付加価値の医療を実現するための方策を提案

【厚労省・医師の働き方ビジョン検討会】
フィジシャン・アシスタント創設等

 厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(渋谷健司座長)は前号既報の通り、4月6日に報告書をまとめ、「医師の勤務実態及び働き方の意向等に関する調査」の結果とあわせて発表した。
 報告書は、医療が「高生産性・高付加価値」構造となり、本来医師が行うべき業務に注力できる環境整備を進めることで、医師数を増やす必要がない環境を作り上げていくことが重要と指摘。そのための方策として、都道府県による人材マネジメントやタスク・シフティング/タスク・シェアリング、フィジシャン・アシスタントの創設、ITC の活用などを提案。これらの方策の達成状況を検証した上で、医師の需給推計を行うことを求めている(報告書の抜粋を4面に掲載)。
 ビジョン検討会設置のきっかけは、「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」が昨年6月に公表した中間とりまとめだ。分科会は昨年3月に医師の将来需給推計を行ったが、中間とりまとめは、「今回の前提となった限られたデータでは、実態を十分に把握できなかった」と指摘。「あるべき医療提供体制とそこにおける医師の新しい働き方を示すビジョンを策定した上で必要な医師数を推計する」とした。
 これを受けてビジョン検討会が設置され、医師の勤務実態や働き方の意向・キャリア意識に関する実態調査を行った。
 調査は、約10万人の医師を対象に実施し、1万5,677人の回答を得た。勤務時間(診療+診療外)は年代が上がるにつれ減少する傾向があり、20代の常勤勤務医が最も多く、週平均55時間程度だった。これに当直・オンコールの待機時間(男性約16時間、女性約12時間)が加わる。救急科、外科、臨床研修医で勤務時間が長い傾向があった。常勤勤務医で週60時間以上は男性で27.7%、女性で17.3%。
 働き方の意向では、医師の44%が今後、地方(東京23区および政令指定都市、県庁所在地等の都市部以外)で働く意思があると回答。そのうち50代以下で10年以上の期間を希望する割合は30%近かった。一方で、地方勤務の意思がない理由をきくと、「労働環境への不安」、「希望する内容の仕事ができない」が多かった。
 この結果を受けて報告書は、「多くの医師は潜在的に地方での勤務に魅力を感じ、キャリア形成や生活への支障を来たす要素が除かれれば、地方で従事する可能性が多く秘められている」と指摘。「医師の意向を重視し、モチベーションを引き出す方策をそれぞれの地域において、住民、医療機関、行政等が中心となって講じていくべき」と述べている。

 

全日病ニュース2017年5月1日号 HTML版

 

 

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    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170415/news06.html

    2017年4月15日 ... 厚生労働省の「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会
    」は4月6日、報告書をまとめる ... 報告書では、医療のあるべき姿を描き、それを実現
    すれば、医療は「高生産性高付加価値」構造となり、その結果、「医師 ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年4月15日号)

    http://www.ajha.or.jp/voice/topnews/backnumber/pdf/2017/170415.pdf

    2017年4月15日 ... で専門医制度と働き方改革について質. 問したことを報告。 ... の需給に関する検討」、「
    2017年度末で. 廃止予定の ..... それを実現すれば、医療は「高生産性・. 高付加価値
    構造となり、その結果、. 「医 .... 厚労省・医師の働き方ビジョン検討会.

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