全日病ニュース

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厚労省が社会的影響を考慮する観点を示す

厚労省が社会的影響を考慮する観点を示す

【中医協・費用対効果評価専門部会】
委員は具体的な事例の提示を要望

 中医協の費用対効果評価専門部会(荒井耕部会長)は5月31日、医薬品や医療機器の費用対効果評価の総合的評価(アプレイザル)について議論した。アプレイザルでは、増分費用効果比(ICER)の分析結果に基づき、倫理的、社会的影響の観点で評価する。厚生労働省は「公衆衛生的観点」などを示したが、委員からは「イメージがつかめない」といった意見が相次いだ。
 費用対効果評価では、ICER を使って、費用と効果の関係を数値で示す。
 例えば、既存の医薬品より費用が安く、効果も高い新薬は、ICER で計算するまでもなく、費用対効果がよい。しかし多くの場合で費用は高くなる。このため一定の割合の人が1QALY(質調整生存年)を獲得するために支払うことを許容する額を「支払い意思額」とし、支払う意思のある人の割合に応じて、費用対効果の段階を設ける。段階は5段階とした。
 「支払い意思額」は福田敬・国立保健医療科学院部長を中心とする研究班が調査する予定。現状では、500万~600万円との調査結果がある。
 ICER により、5段階評価を行っても、それだけで評価することはせずに、倫理的・社会的影響等に関する観点を考慮する。厚労省は今回、①感染症といった公衆衛生的観点での有用性②介護など公的医療の立場からの分析には含まれない追加的な費用③長期にわたり重症の状態が続く疾患での延命治療④代替治療が十分に存在しない疾患の治療⑤イノベーション⑥小児の疾患を対象とする治療─を提示した。
 しかし委員から、「イメージがつかめない」、「具体的な事例で示してほしい」といった意見が出たため、厚労省は改めて整理することとした。

 

全日病ニュース2017年6月15日号 HTML版

 

 

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  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年4月1日号)

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    は一般病棟入. 院基本料 .... るアプレイザルでは、ICER を使って、.

  • [4] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年3月1日号)

    http://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170301.pdf

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    対効果比(ICER)の考え方を用 ... した総合的評価(アプレイザル)を行.

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