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原価計算方式のイノベーション評価に慎重意見

【中医協・薬価専門部会】支払側は原価のデータを要求

　中医協の薬価専門部会（中村洋部会長）は６月28日、イノベーションの評価について議論した。特に、原価計算方式で算定される医薬品に対する評価が現状で不十分であるとの指摘を踏まえ、厚生労働省が見直しを求めたが、委員からは、慎重な意見が相次いだ。
　イノベーションの評価については前回、特許期間中の新薬に対する新薬創出・適応外薬解消等促進加算を議論した。今回は収載時の薬価または既収載品の薬価改定時に、臨床上の有用性等に基づき行われる評価を議題とした。
　薬価制度の抜本改革の基本方針には、イノベーションについて、「真に有効な医薬品を適切に見極めて、イノベーションを評価し、研究開発投資の促進を図る」と明記されている。
　医薬品の価格設定には、類似薬がある場合の類似薬効比較方式と類似薬がない場合の原価計算方式がある。類似薬効比較方式では、画期性加算や有用性加算などがある。一方、原価計算方式における評価は、「平均的な営業利益率に対する補正」として行われている。厚労省は、原価計算方式のイノベーション評価を見直し、不透明と批判の多い原価計算方式の正当性・透明性を向上させる考えを示した。
　これに対し診療側の委員は、「原価計算方式で算定した医薬品を販売する製薬企業がかわいそうと主張しているのか」と質問。厚労省は「そういうことではないが、イノベーションの評価が限定的と指摘している」と答えた。
　支払側の委員は「我々にはわからない原価に加算するわけにはいかない。原価を示すデータを製薬企業は明らかにしてほしい」と要望した。