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次期改定に向けてこれまでの「議論の整理」まとめる

次期改定に向けてこれまでの「議論の整理」まとめる

【中医協総会】7対1、10対1は急性期一般入院料に

 中医協総会(田辺国昭会長)は1月12日、次期診療報酬改定に向けた「これまでの議論の整理」をまとめた。社会保障審議会医療保険部会・医療部会が策定した基本方針(12月11日)に沿って、項目を整理している。議論の整理に対し、パブリックコメントを一週間程度募集。1月19日には、千葉県千葉市で地方公聴会を開催した。
 同日、加藤勝信厚生労働大臣は中医協に、改定に対する意見を諮問した。
 答申にあたっては、改定率を決めた大臣折衝事項(12月18日)と社会保障審議会医療保険部会・医療部会の基本方針に基づくことを求めた。中医協は改定内容について、個別項目の算定要件や施設基準、点数等詳細を詰め、2月中旬までに答申する見通しだ。
 「議論の整理」に先立ち中医協総会は1月10日に、入院医療や外来医療の残された課題を議論した。入院医療では「重症度、医療・看護必要度」や現行の7対1、10対1入院基本料の評価体系見直し、外来ではかかりつけ医機能に対する初診の評価が論点になった。
 一般病棟用の「重症度、医療・看護必要度」の定義・判定基準については、2点の変更を了承した。
 1点目は、認知症やせん妄の患者に対して、基準を満たしやすくする。具体的には、該当基準に「『A得点1点以上かつB得点3点以上』かつB項目の『診療・療養上の指示が通じる』またはB項目の『危険行動』のいずれかに該当している患者」を追加する。2点目は、C項目の「開腹手術の所定日数」の5日から4日への短縮である。
 A項目の「救急搬送後の手術」の定義を「救急医療管理加算1の算定患者」に変更する案もあったが、見送った。全日病会長の猪口雄二委員は、「現段階で精緻な基準になっていないので、もう少し検討し、今回は入れないほうがよい」と述べた。
 これらの見直しで、該当患者の基準は満たしやすくなる。1点目で4~5%の影響があり、2点目でマイナス1~0%の影響があるとされる。
 該当患者割合は現行で25%以上が要件だが、支払側の委員は、現行の25%を30%に厳格化し、その上で見直しの影響を加えることで「34%」に引き上げることを主張した。これに対し診療側は今回の見直しは、より適切な指標にすることを目指すものであり、該当患者割合については「現状通り」であるべきと要請した。
急性期医療に7段階の評価を設定
 現行の7対1、10対1は評価体系が次期改定で大きく変わる。同日は、現行の10対1入院基本料と7対1の水準の間に、2つの段階的な評価を設けることを了承した。10対1の看護必要度加算1~3を含めると、7段階になる。
 現行制度では、7対1から10対1になると、収入が大きく減ることが機能分化が進まない理由の一つとされてきた。
 細分化することで7対1から移行しやすくなると考えられる。
 現行の7対1と10対1の間に設ける2つの区分については、「重症度、医療・看護必要度」を用いず、診療実績データで患者像を判定することも注目される。他の区分では、選択制となる。また、この中間の区分にいくには、7対1からしか認められない。診療実績データを用いる場合は、「重症度、医療・看護必要度」とは別に基準値を設ける。
 名称は、7対1、10対1が「急性期一般入院料」、13対1、15対1が「地域一般入院料」になる見通しだ。
 かかりつけ医機能については、初診の評価が論点にあがった。現行の診療報酬ではかかりつけ医機能を評価するものとして、地域包括診療料等(認知症地域包括診療加算、地域包括診療料、認知症地域包括診療加算、地域包括診療加算)、小児かかりつけ診療料、在宅時医学総合管理料などがある。
 厚労省はかかりつけ医機能として、①日常的な医学管理と重症化予防②専門医療機関等との連携③在宅療養支援、介護との連携─を明示した。ただ何を初診で評価するかについて具体的な考え方は示していない。要件設定により財政影響が大きくなる可能性もある。

 

全日病ニュース2018年2月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年11月15日号)

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    2016年11月15日 ... No.883. 厚生労働省は 10月 26日の社会保障. 審議会・療養病床の在り方等に関する.
    特別部会(遠藤久夫部会長)に、介護. 療養病床や医療療養病床 25対1の受. け皿と
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    ある。中医協. の議論は評価会議にフィードバックす. る」と回答。保険収載 ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年12月01日号)

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    2017年10月6日 ... 社会保障審議会医療部会(永井良. 三部会長)は11月10日、医師偏在対策. や医師の
    働き方改革など最近の医療提. 供体制の課題について協議した。厚生. 労働省が、◇
    地域医療構想◇医師偏在. 対策◇医師の働き方改革◇有床診療所. ◇療養病床―の
    現状と課題を説明し、. 委員から意見を求めた。 都道府県の地域医療構想調整会議の.
    議論について、日本医療法人協会会長. の加納繁照委員は、民間病院の意見を. ど、
    地域医療構想と整合的でないこと. が明らかになれば、改革プランを修正.

  • [3] 新専門医制度に関する厚労省の委員会が初会合

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160415.pdf

    2016年4月15日 ... 久常任理事が「病院のあり方に関する報告書−2015年度版」. (未定稿)の内容を. 説明
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    専門委員会」. (永井良三委員長)を. 設置し、3月25日に初会合を開いた。 ..... 猪口副
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