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医学部定員の取扱いで第3次中間取りまとめを了承

医学部定員の取扱いで第3次中間取りまとめを了承

【厚労省・医師需給合同会議】2021年度まで医学部入学定員を維持

 厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会と医師需給分科会の合同会議は5月28日、2020年度以降2年間は現状の医学部入学定員を維持するなどの内容を盛り込んだ第3次中間取りまとめを了承した。分科会の今後の課題は、2022年度以降の医学部入学定員の取扱いだが、そのためには医師偏在対策や医師の働き方改革の影響などを見極め、改めて医師需給推計を行う必要がある。
 第3次中間取りまとめは、5月28日に医師需給分科会が了承したもの。第1次中間取りまとめは2016年6月、第2次中間取りまとめは2017年12月に出した。第1次中間取りまとめでは、医師の需給推計を実施し、医師偏在対策の項目を示すとともに、2017年度で期限を迎える医学部入学定員の臨時増員を2019年度まで延長することを決めた。第2次中間取りまとめでは、現在国会で審議されている医療法等改正案の医師偏在対策を了承した。
 今回の第3次取りまとめでは、前回よりも精緻な医師需給推計を行い、将来のある時点で、医師需給は均衡し、それ以降は医師が全国的には過剰になることを示した上で、2020年度以降の2年間は現状の医学部入学定員の臨時増員を維持することにした。1人の医師がどれだけの時間働くかという医師の働き方改革の影響が、医師需給が均衡する時期を左右するほか、医師偏在対策の効果がなければ、マクロで医師は過剰でもミクロでの医師不足は改善しないためだ。
 2022年度以降の医学部入学定員の取扱いは、医師偏在対策と医師の働き方改革の影響を見極めつつ、再度医師需給推計を行った上で、分科会で議論することになる。第3次中間取りまとめでは、その議論の際に「将来的な医学部定員の減員に向けた議論としていく必要がある」とした。今回の医師需給推計でも2028年頃に約35万人で医師需給が均衡し、2040年には約3.5万人過剰になるとの結果が示されたからだ(医師の労働時間を週60時間に制限するケース2の場合)。
 これに関しては、同日の合同会議でも議論があった。日本医師会の委員が「若年労働者が減少する中で、就労者に占める医師の割合を増やし続けるのは難しいということを議論の基本とし、医学部入学定員を減員する必要がある」と主張した。これに対し、日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、「ミクロでは、医師はまだまだ足りない。マクロで過剰になることを強調すると間違った議論になる可能性がある。減員が前提ではない」と述べた。
 また、日本医師会の委員は、「英国のGP(ジェネラル・プラクティショナー)を創設する案については、専門医ではないGPの医行為が制限されることになるので反対だ」と発言した。これに対して他の委員から、「医師偏在を改善するためには、効率的な医師の配置を考えなければならない。臓器別専門医とGPを設けることの議論は必要だ」との意見が出た。

 

全日病ニュース2018年6月15日号 HTML版

 

 

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    日合併号 HTML版。21世紀の医療を考える「全日 ... 最新号から3ヶ月前まではヘッド
    ライン版を、3か月前以前は紙面PDFを無料でご覧頂けます。 ... 医学部段階では、出身
    地と大学の所在地が同じであれば、高い定着率が期待できることを踏まえ、大学医学部
    入学枠に地元出身者枠を設定し、増員を要請する制度を設ける。 臨床研修段階では
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