全日病ニュース

新型コロナ疑い患者への救急医療体制の整備

【厚労省】都道府県調整本部での検討を要請

　厚生労働省は５月13日、新型コロナウイルス感染症を疑う患者等への救急医療に関し、事務連絡を出した。医療現場における感染防護具等の不足が切迫した課題になる中で、都道府県が新型コロナの協議会で、医療関係者と連携し、各地域における医療機関の役割分担や連携等の検討を行い、救急医療提供体制が確保されることを求めている。
　また、同日、保険適用された抗原検査キット（SARS-CoV-2抗原検出）が発熱などの症状のある新型コロナ疑い救急患者に有用であると指摘した。
　新型コロナ感染患者が大幅に増えた際は、新型コロナ感染患者への対応だけでなく、他の疾患等の患者への対応も勘案し、地域全体の医療提供体制を整備する必要がある。
　厚労省は、都道府県に調整本部を設置し、各専門医療の専門家の参加を要請するとともに、「患者搬送コーディネーター」の配置を求めた。「患者搬送コーディネーター」を配置する予算は、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」を活用できるとした。
　医療機関の役割分担では、新型コロナ疑い救急患者をまず受入れ、必要な救急医療を提供する医療機関が必要となる。比較的多くの個人防護具や個室の病室等が必要なため、モノ・ヒトの支援策の検討を要請した。
　糖尿病や心不全、呼吸器疾患などの基礎疾患のある患者、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている患者、透析患者、小児等の新型コロナ疑い患者を受け入れる医療機関もあらかじめ設定しておく。妊産婦に関しては、周産期医療協議会等での協議を求めている。
　自宅等からの119番通報、かかりつけ医や「帰国者・接触者相談センター」、保健所など、それぞれに救急医療相談があった場合の連絡・調整も行う必要がある。例えば、消防機関が医療機関に連絡したが、搬送先が決まらない場合に、調整本部に連絡する「一定の要件」などを定める。
　救急患者受入れの制限や停止を行う救急医療機関については、新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム（GMIS）の活用を促した。GMISで状況を把握し、他の医療機関に新型コロナ疑い患者以外の救急患者の受入れを求める調整や、ヒト・モノの支援策を協議し、協議結果を調整本部、関係者間で広く共有すべきとした。