全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース(2020年)第964回/2020年6月1日号保健所での新型コロナ対応を地域医療研修の代替に

保健所での新型コロナ対応を地域医療研修の代替に

保健所での新型コロナ対応を地域医療研修の代替に

【厚労省】臨床研修が行えない場合の対応で事務連絡

 厚生労働省は5月13日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、臨床研修で地域医療研修を行うことが困難な場合、保健所で行われている新型コロナ対応などで代替できることを事務連絡した。
 4月28日以降に、持ち回りで開催した医道審議会・医師臨床研修部会の了承を得た上で決めた。その他の研修でも一定の配慮を行うことを示した。
 卒後2年間の臨床研修では1カ月の地域医療研修が必修となっている。しかし、新型コロナの影響で、地域により実施が困難な事例が出てきた。
 このような事態を踏まえ、厚労省は、地域医療研修が実施できるようにするため可能な限り、調整を図ることを求めつつ、保健所での新型コロナ対応を含む保健指導等の地域保健業務や、基幹施設、協力施設での研修で代替できるとの特例的な対応を図る。
 これらの代替が可能な研修を合計4週間以上行い、到達目標が達成されたと判断された場合に、地域医療研修の「修了」を認める。
 厚労省担当者は、「新型コロナに対応している保健所の業務を経験し、公衆衛生を医師のキャリアの中で学ぶことは有意義だ。新型コロナのレガシー(遺産)となる」と述べた。また、今回の特例的な対応は、保健所の支援のために研修医を活用する対策ではないとの考えも示した。
 また、選択必修科目の研修が行えない場合や、研修は実施できるが症例が減少している場合などの対応も示している。
 感染症への対応能力の向上の機会とし、新型コロナ感染者への医療に従事することも可能とした。ただし、研修医の習熟度によっては、新型コロナの診療への従事が研修医・指導医ともに負担増になることが考えられるため、各施設の実情に応じて、総合的に判断することを求めている。また、研修医が新型コロナの診療従事に同意しないことが、本人の不利益とならない対応が必要とも指摘した。新型コロナの医療に従事する場合の研修ツールなども示した。

 

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