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ホーム全日病ニュース(2020年)第964回/2020年6月1日号レムデシビルの医療保険上の取扱いを了承

レムデシビルの医療保険上の取扱いを了承

レムデシビルの医療保険上の取扱いを了承

【中医協総会】新型コロナ治療薬として初の薬事承認受け

 中医協(小塩隆士会長)は5月8日、総会を持ち回りで開催し、新型コロナウイルス感染症の治療薬であるレムデシビル(販売名:ベクルリー)の医療保険上の取扱いを了承した。時限的・特例的に保険診療との併用を認める。ただし、製造販売業者のギリアド・サイエンシズは薬価収載希望を当面行わず、無償提供することから、患者負担は発生しない。人工呼吸器による管理などが必要な重症患者が対象となる。
 レムデシビルはエボラ出血熱の治療薬として開発を進めてきた抗ウイルス薬で、新型コロナウイルスの治療に効果があるとして、5月1日に米国の食品医薬品局(FDA)により、緊急使用を認可されている。通常の認可ではなく、日本での有効性・安全性の審査を受けていないが、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の特例承認の制度を活用し、政令を改正した上で、使用を認めることにした。日本で新型コロナウイルスの治療薬が承認されるのは初めて。
 これを受け、中医協で医療保険上の取扱いを決めた。時限的・特例的な対応として、自由診療ではなく保険診療との併用を認める。レムデシビルの供給量は極めて限定的で、公的な管理の下での流通となる。ギリアド・サイエンシズ社は、レムデシビルを無償提供し、当面は薬価収載希望書を提出しない予定。このため、医療保険上の取扱いは保険外併用療養となるが、患者負担は発生しない。
 また、新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として、臨床研究・観察研究で使用されているファビピラビル(販売名:アビガン錠)についても、緊急で特例的な取扱いとして、保険診療との併用を認めていることを確認した。
 日本感染症学会の「COVID-19に対する薬物療法の考え方(第2版)」(4月28日)によると、代替療法がない等の限定的状況において未承認薬の使用を認める制度(コンパッショネート・ユース)を活用することから、リスクと便益を熟慮して投与の判断を行うことを医師に求めている。動物実験で初期胚の致死および催奇形性が確認されており、妊婦または妊娠している可能性のある女性には投与すべきでないとした。

 

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