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ホーム全日病ニュース(2020年)第964回/2020年6月1日号大田記念病院のPPE開発プロジェクト

大田記念病院のPPE開発プロジェクト

大田記念病院のPPE開発プロジェクト

入手困難な状況で病院が自らPPEを製作

 新型コロナウイルスの感染が広がる中で、第一線の医療機関では、医療用マスクやフェイスシールド、ガウンなどのPPE(個人防護具)が極度に不足する事態になった。感染から身を守る手段がなくては、ウイルスと戦えない。広島県の脳神経センター大田記念病院(大田泰正理事長)は、「ないものは作ろう」とPPE開発プロジェクトを立ち上げ、オリジナルマスクをはじめとするPPEの製作に乗り出した。その取り組みを伝える資料が全日病HPに掲載されている。その概要をみてみよう。

オリジナルマスク
 同病院は今年2月の段階で、サージカルマスクの入荷がストップし、再開の見通しが立たないことから、理事長の発案により、オリジナルマスクの製作に着手。法人本部スタッフで検討を開始した。
 スタッフがマスクの「型」を作成し、地元の医療機器商社に、医療用不織布(SMS素材)の入手を依頼。裁断は、県内の自動車シートメーカーに依頼した。
 納品価格は1枚単価25円。サージカルマスクの価格が高騰したため、オリジナルマスクのほうが安くなった。3月11日より使用を始め、オリジナルマスクと併用することで、サージカルマスクの使用を抑え、節約することができた。
 大田記念病院のオリジナルマスクは、市内・県内の医療機関や工場等に広く納品されている。4月には30万枚、5月末までに160万枚を出荷した。

フェイスシールド
 マスクの自社開発により、同病院では「ないものは作る」という機運が生まれ、フェイスシールドも製作することとなった。
 発案は、訪問看護スタッフだ。在宅での吸引時にフェイスシールドを使いたいが、入荷が困難なため、100円均一ショップで入手できる材料で作成。
 その後、救急外来、看護部、リハビリ課等、飛沫感染の恐れが高い場面で使用されるようになった。フェイスシールドの作り方を病院のフェイスブックで紹介したところ、多くの反響があった。医療材料の卸業者が他県の医療機関に紹介しているという。

プラスティックガウン
 4月に入ると、ガウンの入荷がなくなった。卸業者に確認したが、原材料の輸入が止まって、入荷の見通しが立たない状況だった。
 そこで、地元の青年会議所のメンバーとのつながりを生かし、ポリエチレンフィルムメーカーやプレス加工工場に依頼して、試作品を製作した。試作品は、感染対策室スタッフで検証。理事長の承諾を得て生産を発注した。初回ロットは8,000枚で価格は280円。すでに増産体制に入り、地元の医療機器商社より、1枚220円(税込)で販売されている。

袖なし防護エプロン
 時が進み5月に入ると、訪問介護や通所リハビリテーションなど、在宅サービスの現場から、防護具を求める声が届き始めた。しかし、多くの介護事業者は経営が逼迫しており、単価の高い防護具を買い付けることは難しい。
 そこで、「袖なし防護エプロン」(1枚66円[税込])を作り、必要なら別売りの「袖」(2本で44円[税込])をつけて合体させる、これまでにない形状の防護具をポリエチレンフィルムメーカーと共同開発。5月25日に発売した。
 「袖」はときには「腕抜き」や「脚カバー」として単独で使うこともできる。


PCR検査の疑義解釈
〇疑義解釈資料の送付について(その12)(厚生労働省保険局医療課:R2.5.15)

【SARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出】
問1 令和2年3月6日付けで保険適用されたSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)核酸検出を、無症状の患者に対して、医師が必要と判断し、実施した場合は算定できるか。(答)無症状の患者であっても、医師が必要と判断し、実施した場合は算定できる。

PPEの医療機関等への配布
〇医療従事者の個人防護具(PPE)の医療機関等への配布について(その2)(厚生労働省医政局経済課 マスク等物資対策班:R2.5.14)

 令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」においては、医療マスク・ガウン等を国において確保し、必要な医療機関等に優先して配布するとされているところです。
 これを踏まえ、下記のように医療従事者の個人防護具(PPE。N95・KN95マスク等、アイソレーションガウン、フェイスシールド等をいう。以下同じ。)の医療機関等への配布の仕組みについて整理いたしましたので、都道府県におかれましてはご対応いただけるよう、よろしくお願いいたします。

1 国から都道府県への医療従事者の個人防護具(PPE)の送付について
○国から都道府県に送付する医療従事者の個人防護具(PPE)については、各都道府県における PCR検査実施件数、PCR検査陽性者数の累積のうち現在は入院等している者の数、人口、備蓄の放出量を勘案して送付量を決定いたします。○送付する日程及び送付量については予め連絡いたしますが、メーカーからの納入状況に応じて順次、都道府県に送付いたします。到着次第、速やかに医療機関等への配布をお願いいたします。○施設内で感染者が発生した場合など緊急時において都道府県が医療機関・介護施設等に対して個人防護具を配布するために、随時、通常の送付量に上乗せして一定枚数を国から配布します。衛生部局又は福祉部局等において適切に保管し、緊急時には早急に当該施設まで配布できる体制をとっていただくようお願いいたします。○なお、都道府県への配分数については公表いたします。

2 都道府県から医療機関等への医療従事者の個人防護具(PPE)の提供について
○都道府県から管下の医療機関等に医療従事者の個人防護具(PPE)を提供する際の目安は、以下の考え方を基本としてご判断いただき、速やかな配布をお願いいたします。①感染症指定医療機関等やPCR検査のための検体採取を行う医療機関、施設内で感染者が発生した場合など緊急時の医療機関・介護施設等を優先②①以外の重症度が高い患者が入院する等の病院(救急受入件数等を考慮)を優先○また、別添のとおり管下の医療機関のうち厚生労働省・内閣官房IT総合戦略室医療機関調査事務局によるWEB調査(医療提供状況等の状況把握について)に回答した医療機関の一覧をお送りいたしますので、都道府県の備蓄を放出するなど緊急の対応をお願いするとともに、配布先となる医療機関の優先順位の決定にあたり考慮いただくようお願いいたします。○都道府県からの配布に当たっては、管下市町村における状況等の意見を聴くとともに、都道府県医師会等の職能団体と必要な協議を行った上で、情報共有に努めていただくようお願いいたします。○さらに、緊急時や医療機関・介護施設等において感染者が発生した場合に備え、必要な限度で都道府県が柔軟に対応できるよう保有することは差し支えありませんので、この点も考慮した上で、医療機関等に配布いただきますようお願いいたします。○緊急時に医療機関・介護施設等において機動的な配布を行うためには、それぞれの所管部局で必要な個人防護具を備蓄しておくことが望ましいと考えられます。しかしながら、現状、特に福祉部局の防護具の備蓄が十分でない都道府県が多いと考えられることから、当分の間※、施設内で感染者が発生した場合など緊急時の介護施設等に対しても、都道府県内の知事部局、衛生部局、福祉部局、その他個人防護具を保有する部局等の関係部局が連携するとともに、必要に応じて、部局間で個人防護具を融通するようお願いいたします。※ 各都道府県の福祉部局に対する介護施設等への個人防護具の緊急配布に係る今後の方針については、別途、担当部局から事務連絡を発出する予定ですが、当分の間、緊急時の介護施設等に対しては、上記の対応をお願いいたします。
   なお、介護施設等とありますが、高齢者・障害者・児童・生活困窮者の各施策のうち、感染者が出てもなお事業継続を行うことを前提としている入所・居住系サービスや、感染者や濃厚接触者に対してサービス提供を行う必要のある訪問系サービスを対象として想定しています。○なお、都道府県の備蓄量についてはこれまで定期的に調査させていただいております。都道府県間で備蓄量に差があることから、備蓄量の多い都道府県においては他の都道府県に融通していただくようお願いいたします。

3 その他
○医療機関等へ必要な物資が供給されているか確認する観点から、都道府県から医療機関等に配布した実績及び都道府県(政令市及び中核市並びに保健所を含む。)における備蓄量については、別紙様式に必要事項を記載の上、毎週金曜日時点の状況を翌週月曜日に報告をお願いいたします。○都道府県における事務に要する費用(人件費等)については、国で財政措置をします。詳細については、別途、ご連絡いたします。(別添は略)

 

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  • [1] 医療従事者の個人防護具(PPE)の医療機関等への配布 について(厚生 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2020/200515_7.pdf

    策」においては、医療マスク・ガウン等を国において確保し、必要な医療機関等. に優先し
    て配布するとされているところです。 これを踏まえ、下記のように医療従事者の個人防護
    具(PPE。N95・KN95 マス. ク等、アイソレーションガウンフェイスシールド等をいう。

  • [2] 医療従事者の個人防護具(PPE)

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2020/200427_5.pdf

    N95・KN95 マス. ク等、アイソレーションガウンフェイスシールド等をいう。以下同じ。)
    の医. 療機関等への配布の仕組みについて整理いたしましたので、都道府県におかれ.

  • [3] 医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応について

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2020/200408_7.pdf

    2020年4月7日 ... なお、職員(受付、案内係、警備員など)も標準予防策を遵守する。 ・N95 マスクの使用
    に際しては事前のフィットテストと着用時のシールチェック. を行い、マスク、ゴーグル
    またはフェイスシールド、長袖ガウン、手袋などの. PPE を脱ぐ際の手順 ...

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