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ホーム全日病ニュース(2022年)第1010回/2022年6月1日号訪問看護とリハビリテーションの実態調査で報告

訪問看護とリハビリテーションの実態調査で報告

訪問看護とリハビリテーションの実態調査で報告

【高齢者医療介護委員会】訪問リハとリハ職による訪看の違いを分析

 「地域における訪問看護・リハビリテーションの実態調査研究」の報告書が、高齢者医療介護委員会・介護医療院協議会でこのほどまとまった。
 介護保険では、「訪問リハビリテーション」(訪問リハ)と「リハビリ職による訪問看護」(リハ職訪看)について、それぞれ要件が設けられており 、リハ職訪看については、「看護職員の代わりの訪問」という位置づけのもと、看護職員との連携が求められている。
 調査研究では、このような訪問リハとリハ職訪看の違いを踏まえつつ、訪問リハビリテーション事業所(病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院)が提供するサービスと訪問看護ステーションから理学療法士等が訪問して行う訪問看護の実態を把握し、両者の比較を行った。
 実態を把握するため、両サービスの提供主体である訪問リハビリテーション事業所および訪問看護ステーションを対象に、アンケート調査やインタビュー調査を行った。加えて、ケアプランを作成・管理する立場にある居宅介護支援事業所にも調査を実施し、サービス導入側が両サービスをどのように使い分けているのかについて実態を調べた。
 調査結果によると、35%強の事業所が両サービスの機能に「違いがある」と回答した一方、「大きな違いはないと思う」との回答は 40%を超え、「違いがある」との回答よりも多かった。
 また、利用者の状態像については、ケアプラン上では、有意な違いはみられなかったが、要介護度は、リハ職訪看の利用者の方が訪問リハよりも重度の傾向があった。
 両サービスが提供するサービスの内容は、訓練の内容について明確な差異はみられないが、サービス提供の計画やリハビリ職以外の関与の在り方について、明確な差異がみられた。リハ職訪看は、訪問リハと比べて、「サービス提供の計画への記載項目が少ない」ことや、「終了時期の見通しを立てていない割合が高い」という特徴があり、リハビリテーションが必要なケースに対し、計画的なサービス提供が行われない恐れがあると分析した。
 機能分担を明確化するためには、ケアプランの作成・管理を担う介護支援専門員に対し、 両サービスの本来的な機能の違いや、訪問サービスにおける個別リハの重要性に関する啓発を行う必要があると提言している。
 また、本来はリハビリテーションが必要な状態にもかかわらず、主治医と訪問リハの事業所の医師の両方の診察を受けることを忌避して、リハ職訪看に流れ、計画的なリハビリテーションが受けられていないことも危惧されると指摘。報告書は、こうした問題を改善するため、退院後の一定期間、医療保険でのリハビリテーションを続けられる制度を導入することを提言している。

 

全日病ニュース2022年6月1日号 HTML版

 

 

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