全日病ニュース

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資料/ 10月実施の診療報酬改定内容

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医療情報・システム基盤整備体制充実加算及び看護の処遇改善

 中央社会保険医療協議会(中医協)は8月10日、後藤茂之厚生労働大臣(当時)の諮問に対して、「医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付け及びこれに伴う診療報酬上の加算の取扱いについて」及び「看護の処遇改善」を答申。これを受けて厚生労働省は9月5日、「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第269号)、「基本診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第270号)及び「特掲診療料の施設基準等の一部を改正する件」(令和4年厚生労働省告示第271号)を官報告示し、10月1日より適用することとした。関連の通知及び事務連絡の内容を抜粋して示す。

〇医療DXの基盤となるオンライン資格確認の導入の原則義務付け及びこれに伴う診療報酬上の加算の取扱いについて

1 経緯
 医療DXの基盤となるオンライン資格確認については「経済財政運営と改革の基本方針2022」(令和4年6月7日閣議決定)において、保険医療機関・薬局に令和5年4月から導入を原則として義務付けるとともに、導入が進み、患者によるマイナンバーカードの保険証利用が進むよう、関連する支援等の措置を見直すこととされた。
 これを踏まえ、オンライン資格確認の導入の原則義務付け及びこれに伴う診療報酬上の加算の見直しを行う(令和4年8月10日中医協答申)。

2 概要
(1)オンライン資格確認の導入の原則義務付け(令和5年4月1日施行)

① 保険医療機関及び保険薬局は、患者の受給資格を確認する際、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合は、オンライン資格確認によって受給資格の確認を行わなければならないこととする。(保険医療機関及び保険医療養担当規則第3条第1項及び第2項関係等)
② 現在紙レセプトでの請求が認められている保険医療機関・保険薬局については、オンライン資格確認導入の原則義務付けの例外とする。(同令第3条第3項関係等)
③ 保険医療機関及び保険薬局(②の保険医療機関・保険薬局を除く。)は、患者がマイナンバーカードを健康保険証として利用するオンライン資格確認による確認を求めた場合に対応できるよう、あらかじめ必要な体制を整備しなければならないこととする。(同令第3条第4項関係等)
④ このほか、保険医療機関及び保険薬局はオンライン資格確認に係る体制に関する事項を院内に掲示しなければならないこととする。(療担規則及び薬担規則並びに療担基準に基づき厚生労働大臣が定める掲示事項等)

(2)オンライン資格確認等システムを通じた患者情報等の活用に係る評価の見直し(令和4年10月1日適用)
 保険医療機関・保険薬局のオンライン資格確認の導入の原則義務化等を踏まえ、オンライン資格確認等システムを通じた患者情報等の活用に係る現行の評価を廃止し、初診時等に患者の薬剤情報や特定健診情報等の診療情報を活用して診療等を実施し質の高い医療を提供する体制及びオンライン資格確認等システムによる患者情報の取得の効率化を考慮した評価体系とする。
 具体的には「電子的保健医療情報活用加算」を廃止し、「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設する(令和4年10月1日適用)。

医療情報・システム基盤整備体制充実加算
 「注 15」に規定する医療情報・システム基盤整備体制充実加算は、オンライン資格確認の導入の原則義務化を踏まえ、オンライン資格確認を導入している保険医療機関の外来において、初診時に患者の薬剤情報や特定健診情報等の診療情報を活用して質の高い診療を実施する体制を評価するものであり、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合に、医療情報・システム基盤整備体制充実加算1として、月1回に限り4点を算定する。
 ただし、健康保険法(大正 11 年法律第 70 号)第3条第 13 項に規定する電子資格確認により当該患者に係る診療情報を取得等した場合又は他の保険医療機関から当該患者に係る診療情報の提供を受けた場合は、医療情報・システム基盤整備体制充実加算2として、月1回に限り2点を算定する。

 医療情報・システム基盤整備体制充実加算を算定する保険医療機関においては、以下の事項について院内及びホームページ等に掲示し、必要に応じて患者に対して説明する。
(イ) オンライン資格確認を行う体制を有していること。
(ロ) 当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと。

 初診時の標準的な問診票の項目は別紙様式54に定めるとおりであり、医療情報・システム基盤整備体制充実加算を算定する保険医療機関は、患者に対する初診時問診票の項目について、別紙様式54を参考とする。

医療情報・システム基盤整備体制充実加算に関する施設基準

1 施設基準
(1) 電子情報処理組織を使用した診療報酬請求を行っていること。
(2) 健康保険法第3条第13 項に規定する電子資格確認(以下「オンライン資格確認」という。)を行う体制を有していること。なお、オンライン資格確認の導入に際しては、医療機関等向けポータルサイトにおいて、運用開始日の登録を行うこと。
(3) 次に掲げる事項について、当該保険医療機関の見やすい場所及びホームページ等に掲示していること。
 オンライン資格確認を行う体制を有していること。
 当該保険医療機関を受診した患者に対し、受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと。

2 届出に関する事項
医療情報・システム基盤整備体制充実加算の施設基準に係る取扱いについては、当該基準を満たしていればよく、特に地方厚生(支)局長に対して、届出を行う必要はないこと。

〇看護の処遇改善について

1 経緯
 「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」(令和3年11月19日閣議決定)等を踏まえた、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象とする、収入を1%程度(月額平均4,000円相当)引き上げるための措置として、令和4年2月から9月までの間、「看護職員等処遇改善事業補助金」事業が実施されているところ。
 令和4年10月からは、同閣議決定等に基づき、収入を3%程度(月額平均12,000円相当)引き上げるための措置として、診療報酬において「看護職員処遇改善評価料」を新設するもの(令和4年8月10日中医協答申)。

2 概要
(1)対象となる医療機関
 次のいずれかに該当する医療機関
 救急医療管理加算に係る届出を行っている保険医療機関であって、救急搬送件数が年間で200件以上であること。
 救命救急センター等を設置している保険医療機関であること。
(2)対象となる職種
 看護職員(看護師、准看護師、保健師、助産師)
 医療機関の判断により、看護補助者・理学療法士・作業療法士等のコメディカルの賃金改善に充てることが可能
(3) 看護職員処遇改善評価料の要件等
 入院日数に応じて支払われる入院基本料等に、それぞれの医療機関の看護職員数と延べ入院患者数に応じて、点数を上乗せする。

それぞれの医療機関の必要点数=看護職員の賃上げ必要額(それぞれの医療機関の看護職員数×12,000円×社会保険負担率)
               /それぞれの医療機関の延べ入院患者数×10円

 本評価料による収入の全額については、看護職員等の賃上げに充当することを求めるとともに、本評価料による収入の3分の2以上について、看護職員等の賃金のベースアップに使用することを求める。
 また、本評価料を算定する医療機関に対し、看護職員等の賃金改善額と本評価料による収入額を記載した計画書及び実績報告書の提出を求める。

3 対象医療機関におけるスケジュール
 9月対象医療機関において届出・算定に向けた準備
 10月1日~看護職員処遇改善評価料の算定開始
 10月1日~ 10月20日地方厚生(支)局へ施設基準に係る届出書を提出

A500 看護職員処遇改善評価料
 看護職員処遇改善評価料は、地域で新型コロナウイルス感染症に係る医療など一定の役割を担う保険医療機関に勤務する保健師、助産師、看護師及び准看護師の賃金を改善するための措置を実施することを評価したものであり、第1節入院基本料、第3節特定入院料又は第4節短期滞在手術等基本料(区分番号「A400」の「1」短期滞在手術等基本料1を除く。)を算定している患者について、1日につき1回算定できる。

看護職員処遇改善評価料の施設基準
 看護職員処遇改善評価料に関する施設基準は、「基本診療料の施設基準等」の他、以下のとおりとする。

1 看護職員処遇改善評価料に関する施設基準
(1) 以下のいずれかに該当すること。
 次の(イ)及び(ロ)のいずれにも該当すること。
(イ) 区分番号「A205」に掲げる救急医療管理加算に係る届出を行っている保険医療機関であること。
(ロ) 救急用の自動車(消防法(昭和 23 年法律第 186 号)及び消防法施行令(昭和 36 年政令第 37 号)に規定する市町村又は都道府県の救急業務を行うための救急隊の救急自動車並びに道路交通法(昭和 35 年法律第 105 号)及び道路交通法施行令(昭和 35 年政令第 270号)に規定する緊急自動車(傷病者の緊急搬送に用いるものに限る。)をいう。)又は救急医療用ヘリコプター(救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成 19年法律第 103 号)第2条に規定する救急医療用ヘリコプターをいう。)による搬送件数(以下「救急搬送実績」という。)が、年間で 200 件以上であること。

 「救急医療対策事業実施要綱」(昭和 52 年7月6日医発第 692 号)に定める第3「救命救急センター」、第4「高度救命救急センター」又は第5「小児救命救急センター」を設置している保険医療機関であること。
(2) 救急搬送実績については、以下の取扱いとする。
 救急搬送実績は、賃金の改善を実施する期間を含む年度(以下「賃金改善実施年度」という。)の前々年度1年間における実績とすること。
 アにかかわらず、新規届出を行う保険医療機関については、新規届出を行った年度に限り、賃金改善実施年度の前年度1年間における実績とすること。
 ア及びイにかかわらず、令和4年度中に新規届出を行う「令和4年度(令和3年度からの繰越分)看護職員等処遇改善事業補助金」が交付された保険医療機関については、令和2年度における実績とすること。
 現に看護職員処遇改善評価料を算定している保険医療機関については、賃金改善実施年度の前々年度1年間の救急搬送実績が(1)のアの(ロ)の基準を満たさない場合であっても、賃金改善実施年度の前年度のうち連続する6か月間における救急搬送実績が100件以上である場合は、同(ロ)の基準を満たすものとみなすこと。ただし、本文の規定を適用した年度の翌年度においては、本文の規定は、適用しないこと。
(3) 当該評価料を算定する場合は、当該保険医療機関に勤務する看護職員等(保健師、助産師、看護師及び准看護師(非常勤職員を含む。)をいう。以下同じ。)に対して、当該評価料の算定額に相当する賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。)を含む。以下同じ。)の改善を実施しなければならないこと。
 この場合において、賃金の改善措置の対象者については、当該保険医療機関に勤務する看護職員等に加え、当該保険医療機関の実情に応じて、当該保険医療機関に勤務する看護補助者、理学療法士、作業療法士その他別表1に定めるコメディカルである職員(非常勤職員を含む。)も加えることができること。
(4) (3)について、賃金の改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で行うとともに、特定した賃金項目以外の賃金項目(業績等に応じて変動するものを除く。)の水準を低下させてはならないこと。
 また、賃金の改善は、当該保険医療機関における「当該評価料による賃金の改善措置が実施されなかった場合の賃金総額」と、「当該評価料による賃金の改善措置が実施された場合の賃金総額」との差分により判断すること。
(5) (3)について、安定的な賃金改善を確保する観点から、当該評価料による賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げ(以下「ベア等」という。)により改善を図ること。
 ただし、「令和4年度(令和3年度からの繰越分)看護職員等処遇改善事業補助金」が交付された保険医療機関については、令和4年度中においては、同補助金に基づくベア等水準を維持することで足りるものとする。
(6) 当該評価料を算定する場合は、当該保険医療機関における看護職員等の数(保健師、助産師、看護師及び准看護師の常勤換算の数をいう。以下同じ。)及び延べ入院患者数(入院基本料、特定入院料又は短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く。)を算定している患者の延べ人数をいう。以下同じ。)を用いて次の式により算出した数【A】に基づき、別表2に従い該当する区分を届け出ること。
 常勤の職員の常勤換算数は1とする。常勤でない職員の常勤換算数は、「当該常勤でない職員の所定労働時間」を「当該保険医療機関において定めている常勤職員の所定労働時間」で除して得た数(当該常勤でない職員の常勤換算数が1を超える場合は、1)とする。

【A】=看護職員等の賃上げ必要額(当該保険医療機関の看護職員等の数×12,000円×1.165)
    /当該保険医療機関の延べ入院患者数×10円

(7) (6)について、算出を行う月、その際に用いる「看護職員等の数」及び「延べ入院患者数」の対象となる期間、算出した【A】に基づき届け出た区分に従って算定を開始する月は別表3のとおりとする。「看護職員等の数」は、別表3の対象となる3か月の期間の各月1日時点における看護職員等の数の平均の数値を用いること。「延べ入院患者数」は別表3の対象となる3か月の期間の1月あたりの延べ入院患者数の平均の数値を用いること。
 また、別表3のとおり、毎年3、6、9、12 月に上記の算定式により新たに算出を行い、区分に変更がある場合は算出を行った月内に地方厚生(支)局長に届出を行った上で、翌月(毎年4、7、10、1月)から変更後の区分に基づく点数を算定すること。新規届出時(区分変更により新たな区分を届け出る場合を除く。以下この項において同じ。)は、直近の別表3の「算出を行う月」における対象となる期間の数値を用いること。
 ただし、前回届け出た時点と比較して、別表3の対象となる3か月の「看護職員等の数」、「延べ入院患者数」及び【A】のいずれの変化も1割以内である場合においては、区分の変更を行わないものとすること。
(8) 当該保険医療機関は、当該評価料の趣旨を踏まえ、労働基準法等を遵守すること。
(9) 当該保険医療機関は、(3)の賃金の改善措置の対象者に対して、賃金改善を実施する方法等について、3の届出に当たり作成する「賃金改善計画書」の内容を用いて周知するとともに、就業規則等の内容についても周知すること。また、当該対象者から当該評価料に係る賃金改善に関する照会を受けた場合には、当該対象者についての賃金改善の内容について、書面を用いて説明すること等により分かりやすく回答すること。

2 届出に関する手続き等
(1)  看護職員処遇改善評価料の届出に当たっては、当該届出に係る基準について、特に定めがある場合を除き、実績を要しない。ただし、救急搬送実績については、1の(2)によること。
 なお、施設基準に適合しなくなったため所定点数を算定できなくなった後に、再度届出を行う場合は、新規届出に該当しないものとすること。
 新規届出の場合
 例:令和5年10月1日から算定を開始する場合
 ・③から④の前日までの期間については、前年度(①から②の前日まで)の救急搬送実績により1(1)ア(ロ)の適合性を判断
 ・④から⑤の前日までの期間は、前々年度(①から②の前日まで)の救急搬送実績により1(1)ア(ロ)の適合性を判断
 ・⑤から⑥までの期間は、前々年度(②から④の前日まで)の救急搬送実績により1(1)ア(ロ)の適合性を判断(下図を参照)

(2) 地方厚生(支)局長は、看護職員処遇改善評価料の届出の要件を満たしている場合は届出を受理し、次の受理番号を決定し、提出者に対して受理番号を付して通知するとともに、審査支払機関に対して受理番号を付して通知すること。
 看護職員処遇改善評価料(1~ 165)(看処遇1~ 165)第 号
(3) 各月の末日までに要件審査を終え、届出を受理した場合は、翌月の1日から当該届出に係る診療報酬を算定する。また、月の最初の開庁日に要件審査を終え、届出を受理した場合には当該月の1日から算定する。ただし、1の(6)及び(7)に基づき算出する【A】に従って区分の変更を届け出る場合については、別表3に従い、「算定を開始する月」の最初の開庁日までに要件審査を終え、届出を受理した場合に、「算定を開始する月」の1日から当該届出に係る診療報酬を算定する。
 なお、令和4年10月20日までに届出書の提出があり、同月末日までに要件審査を終え届出の受理が行われたものについては、同月1日に遡って算定することができるものとする。

3 届出に関する事項
(1) 看護職員処遇改善評価料の施設基準に係る届出及び1の(6)及び(7)に基づき、新規届出時及び毎年3、6、9、12 月において算出した該当する区分に係る届出は、様式1を用いること。
(2) 1の(6)に基づき算出した看護職員処遇改善評価料の見込額、賃金改善の見込額、賃金改善実施期間、賃金改善を行う賃金項目及び方法等について記載した「賃金改善計画書」を、様式2により新規届出時及び毎年4月に作成し、新規届出時及び毎年7月において、地方厚生(支)局長に届け出ること。
(3) 毎年7月において、前年度における賃金改善の取組状況を評価するため、「賃金改善実績報告書」を様式3により作成し、地方厚生(支)局長に報告すること。
(4) 事業の継続を図るため、職員の賃金水準(看護職員処遇改善評価料による賃金改善分を除く。)を引き下げた上で、賃金改善を行う場合には、当該保険医療機関の収支状況、賃金水準の引下げの内容等について記載した「特別事情届出書」を、様式4により作成し、届け出ること。
 なお、年度を超えて看護職員等の賃金を引き下げることとなった場合は、次年度に(2)の「賃金改善計画書」を提出する際に、「特別事情届出書」を再度届け出る必要があること。
(5) 保険医療機関は、看護職員処遇改善評価料の算定に係る書類(「賃金改善計画書」等の記載内容の根拠となる資料等)を、当該評価料を算定する年度の終了後3年間保管すること。
 (別表2、様式1、2、3、4は略)

 

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