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ホーム全日病ニュース(2022年)第1018回/2022年10月1日号2021年度医療費は44.2兆円で4.6%の伸び

2021年度医療費は44.2兆円で4.6%の伸び

2021年度医療費は44.2兆円で4.6%の伸び

【医療費】2020年度の反動で高い伸びだが、対前々年度比では1.4%

 厚生労働省は9月16日、2021年度の医療費の動向を公表した。概算医療費は44.2兆円と、対前年度比4.6%の高い伸び率だが、対前々年度比では1.4%(1年当たりに換算した伸び率は0.7%)の増加にとどまる。新型コロナの影響を強く受けた2020年度の▲3.1%の反動で、対前年度比の医療費は大きく伸びた。しかし、新型コロナのない年度との比較では、通常の伸び率よりも低く、2021年度も新型コロナの影響が色濃かったと言える状況だ。
 特に、入院医療費は、対前年度比の伸び率でも2.8%にとどまり、対前々年度比では▲0.3%(同▲0.2%)である。2020年度の対前年度比▲3.0%からは回復したが、マイナスが続く。一方、歯科医療費は、対前年度比が4.8%、対前々年度比でも4.0%(同2.0%)であり、回復してきている。
 入院外は、対前年度比が7.5%と高い伸びを示した。対前々年度比では2.9%。ただ、1年当たりに換算した伸び率は1.4%であり、まだ戻っているとは言えない状況にある。
 新型コロナの影響という点では、受診延日数をみると顕著だ。受診延日数は近年、減少傾向が続き、2020年は対前年度比▲8.5%と大きなマイナスだった。2021年は同3.3%でプラスだが、対前々年度比は▲5.5%であり、近年の傾向よりも減少が大きいことがわかる。
 一方で、1日当たり医療費は上昇している。新型コロナの影響が大きかった2020年度が、対前年度比5.9%で高い伸びを示した。2021年度は同1.3%で、対前々年度比では7.3%の伸び。1日当たり医療費の伸びがなければ、医療費の伸びはもっと落ちていた。
 また、主傷病が新型コロナのレセプトを集計した医療費は約4,500億円で、全体に占める割合は1.0%である。
 2020年度以降、新型コロナという特殊な状況下にあるが、医療費は近年、「人口増」「高齢化」「診療報酬改定等」の影響で基本的に動いている。具体的には、2021年度の対前年度比伸び率の4.6%のうち、人口増の影響が▲0.5ポイント、高齢化の影響が1.1ポイント、薬価改定を含む診療報酬改定等の影響が▲0.9%となっている。これらの影響を除くと、2021年度の対前年度伸び率は5.0%に高まる。

 

全日病ニュース2022年10月1日号 HTML版

 

 

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