全日病ニュース

高額な薬剤の対応で関係業界から意見聴取

【薬価専門部会】
「期中改定」に３団体とも反対

　中医協の薬価専門部会（西村万里子部会長）は９月14日、高額な薬剤の対応について、関係業界から意見聴取した。意見をきいたのは、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会の３団体。３団体とも、2018年度改定を待たずに、薬価を下げる「期中改定」に反対した。最適使用推進ガイドラインに対しては、日薬連と米国製薬協が「異論なし」とする一方、欧州製薬連は反対した。
　日薬連は「期中改定」に対し、「これまでにないルールを突然導入し、適用することは到底容認できない」との見解を示した。「期中改定」の対象に該当するかを判断するために、売上げ予測など非公表情報を開示することにも難色を示した。米国製薬協は「たとえ特例的な取扱いでも、薬価の予見性を低下させ、日本での新薬開発の意欲を削ぐ」との懸念を示し、欧州製薬連は「中期的に薬剤費は概ねフラットと予測されており、追加的な費用削減策は不要」とした。
　最適使用推進ガイドラインに対しては日薬連と米国製薬協が「異論なし」と回答。欧州製薬連は「不要」とした上で、導入する場合は◇過度な施設要件や医師要件により、必要な患者への処方が制限されるべきではない◇医療費のコントロールはバランスを取って行うべきで薬剤費に偏るべきではない◇薬事審査と最適使用ガイドラインは切り離し、薬事承認プロセス自体に変更を加えるべきではない─などの観点から検討が必要と主張した。
　３団体とも革新的医薬品の開発におけるイノベーションの評価を強く求めた。日薬連はイノベーションが適切に評価されなければ、「企業の存続は危うい」と主張。「革新的な新薬については、適切に評価された結果として高額となることも当然にあり得る」と述べた。米国製薬協は、日本の医薬品市場は後発医薬品の使用促進などで「十分に抑制されており、薬剤費は今後ほぼ横ばいで推移すると見込まれる」との見通しを示した。
　一方、薬価専門部会の委員からは、「原価計算方式に不備がある。期中の効能追加で市場が急拡大したものは薬価を下げる緊急対応が必要」、「医療保険財政を考える上で、いま薬剤費の伸びが最大の問題」、「オプジーボのような販売戦略に医療保険制度が翻弄されている」などの意見があがった。
　これらの意見に対し、米国製薬協の梅田一郎・在日執行委員会副委員長は、「企業として販売戦略を考えるのは当然だが、それは決して高い薬価のときに売ってしまおうという戦略ではない」と強調した。また、３団体ともオプジーボについては、特定の製薬会社の商品であるため、言及を避けた。