全日病ニュース

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臨床研修制度の到達目標を協議

臨床研修制度の到達目標を協議

【医師臨床研修制度WG】
「医師としての基本的価値観」と「資質・能力」に整理

 厚生労働省の「医師臨床研修制度の到達目標・評価のあり方に関するワーキングループ」(座長=福井次矢・聖路加国際病院長)は9月7日、新たな臨床研修の到達目標について協議した。到達目標は「医師としての基本的価値観」と「資質・能力」に分けて整理する方針で、この日の議論を踏まえて、次回の会合で厚労省があらためて案を示すことになった。
 同ワーキンググループは、臨床研修制度の次回の見直し(2020年度の予定)に向けて臨床研修の到達目標と評価のあり方について検討している。到達目標の見直しは、目標を達成するための方略(カリキュラム)と密接に関わることから、方略についても併せて検討することとしている。現行の臨床研修の到達目標は、行動目標と経験目標から構成されているが、これまでの議論で、経験目標の一部については、方略に含めて整理する方向となっている。
 今後ワーキンググループは、文部科学省で検討している医学部のモデル・コア・カリキュラムの見直しと整合性を図りつつ検討を進め、来年2月に検討結果をまとめる予定。年度内に医道審議会の医師臨床研修部会が到達目標をとりまとめ、その後、方略と評価方法について必要に応じて検討を続ける。
 この日示された資料によると、臨床研修の到達目標について、「医師は病める人の尊厳と公衆衛生に関わる職業の重大性を深く認識し、望ましい『医師としての基本的な価値観』と必要な『資質・能力』を身につけなければならない」としている。
 「医師としての基本的な価値観」では、①社会的使命と公平性②公衆衛生の向上への寄与③人間性の尊重④チームの成果を重視⑤自らを高める姿勢─の5テーマを掲げた。
 1番目の「社会的使命と公平性」では、「医師としての社会的使命を自覚し、社会のニーズとその変化に目を向け、信頼に値する誠実さや公平性を示す」と記載。公平性は、平等な医療の提供、限りある資源の公正な配分、説明責任の履行、守秘義務の遵守、利益相反の適切な管理などを指す。
 「資質・能力」については、①医療における倫理性②医学知識と問題対応能力③診療技術と患者ケア④コミュニケーション能力⑤チーム医療の実践⑥医療の質と安全の管理⑦社会における医療の実践⑧科学的探究力⑨生涯にわたって共に学ぶ姿勢─の9項目のテーマをあげている。
 構成員から、医学部のモデル・コア・カリキュラムとの整合性をめぐって意見があり、次回、あらためて検討することになった。

 

全日病ニュース2016年10月1日号 HTML版