全日病ニュース

周産期医療整備計画と医療計画を一体化へ

【厚労省・検討会】
医療計画検討会に報告の予定

　厚生労働省の「周産期医療体制のあり方に関する検討会」（座長＝五十嵐隆・国立成育医療センター理事長）は８月24日に会合を開き、周産期医療体制の整備について検討し、周産期医療体制整備計画と医療計画を一体化させることを了承した。次回会合で取りまとめた上で、医療計画の見直し等に関する検討会に報告し、2018年度からの第７次医療計画に反映させる方針だ。
　周産期医療体制整備計画は、妊産婦が救急受け入れ困難により死亡した事例を受けて、2009年３月に医政局長通知として定められた周産期医療体制整備指針に基づき、都道府県が策定してきた。一方、医療計画は医療法に基づき定められるもので、それぞれの根拠規定は異なっている。
　厚労省は同日の会合で、周産期医療体制整備計画の主な内容である周産期母子医療センターや新生児集中治療管理室（NICU）の整備状況について説明。引き続き取り組みは必要なものの、全国平均の整備目標は概ね達成されたとの認識を示した。その上で、根拠となる周産期医療体制整備指針を医療計画作成指針に一体化し、周産期医療体制整備計画も医療計画と一体化させることを提案した。
　委員からは、医療計画との一体化について賛成意見があったが、一方で、周産期の医療体制の地域間格差拡大や周産期医療整備計画について意見を述べる都道府県の「周産期医療協議会」の機能低下を懸念して、対応を求める声があった。
周産期医療と精神科医療の連携
　この日の検討会では、合併症を有する妊娠における課題についても協議した。
　重篤な合併症を有する妊産婦は一定程度存在するが、身体合併症に対する診療体制は比較的整備されている一方で、気分障害や統合失調症などの精神疾患に対する診療体制は十分に検討されていない。このため厚労省は、精神疾患を合併した妊産婦の管理における周産期医療と精神科医療の連携を論点にあげるとともに、総合周産期母子医療センターの要件として、精神疾患の合併症に対して自施設または他施設の精神科と連携して対応可能であることを追加することを提案した。
　周産期の精神疾患については、母子愛育会愛育病院の岡井崇委員、三重大学保健管理センターの岡野禎治参考人からヒアリングを実施した。このなかで、イギリスやスウェーデンに比べて東京都の周産期における自殺率は２～３倍高いことが報告された。
　岡井委員は、精神障害をもつ妊産婦の治療における産科診療施設と精神科診療施設の連携体制の確立を提言した。