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妊婦加算凍結に伴い妊産婦への医療で検討会発足

妊婦加算凍結に伴い妊産婦への医療で検討会発足

【厚労省・妊産婦保健医療体制検討会】診療報酬の評価は議論せず

 厚生労働省は2月15日に「妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会」(五十嵐隆座長)の初会合を開き、妊産婦が安心できる医療提供体制や健康管理に向け、議論を始めた。1月1日に診療報酬の「妊婦加算」の算定が凍結されたことに伴うものだが、妊婦加算の評価自体は議論せず、検討結果を中医協に報告する。妊産婦へのアンケート調査などの実施を含め、月1回程度を開催し、6月頃に検討結果をまとめる予定だ。
 妊婦加算は2018年度診療報酬改定で導入された。初診料で75点、再診料で38点の加算で、妊娠に配慮した診療を評価する観点で、設けた。しかし、十分な説明がないまま加算が算定された事例や、コンタクトレンズの処方など妊婦以外の患者と同様の診療を行った場合にも算定される事例などがSNSなどを通じて広がり、批判的な論調が盛り上がった。根本匠厚労相が12月14日に、算定の凍結を発表するとともに、妊産婦への医療のあり方を議論する検討会を立ち上げ、その報告を踏まえ、中医協が2020年度改定での評価のあり方を議論することになった。
 同検討会では、妊婦加算を検討会発足の契機としつつも、妊産婦に対する保健・医療体制のあり方を幅広く検討する。妊産婦に対しては、近年、診療報酬や助成制度により、周産期体制の整備やハイリスク妊産婦への医療の充実を図ってきた。その一方で、出産年齢の上昇など、特に健康管理が必要な事例も増えている。妊産婦の診療に消極的な医療機関もあると指摘される。
 初会合では、様々な観点から、幅広い意見が出された。
 妊婦加算に関しては、「妊婦に特有のコストを誰が負担するかの議論が、妊婦加算では十分ではなかった」「加算の趣旨を理解していない医療機関があったと思う。患者からみると、配慮を受けたのかわからない場合も多い」「妊婦の特有の疾患への対応と、風邪など偶発的な疾患への対応は分けて考える必要がある。妊婦加算は偶発的な疾患に対する配慮を評価したもの」などの意見があった。
 妊産婦への保健医療提供体制については、「妊娠しても自治体に届け出ない。産まれるまで医療機関にかかわらないなど、社会的なリスクを多重に抱える人がいる」など、行政や医療機関との接触がないところで、社会的なケアが必要な人をどう支援するかを検討すべきとの意見も出た。
 厚労省は、妊産婦に対し医療機関の配慮が不十分と感じた経験などをきくアンケート調査を3月中に実施し、4月に公表。検討会の議論で活用する。医療機関を受診する①妊婦健康診査(36週以降)で受診した妊婦②入院中の褥婦③産後健診(産後2週間や1カ月)で受診した褥婦が対象となる。
 検討会は月1回程度開催し、委員や委員外の有識者からヒアリングを実施する。5~6月に検討結果をまとめる。

 

全日病ニュース2019年3月1日号 HTML版

 

 

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    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190101/news02.html

    2019年1月1日 ... 年明け以降、有識者会議を設置し、妊産婦に対する診療のあり方を検討した上で、中医
    が2020年度診療報酬改定の議論の中で、妊婦加算の取扱いを決める。 妊婦加算
    2018年度改定で新設された。妊婦の外来診療では、①胎児への ...

  • [2] 疑義解釈資料の送付について

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180402_11.pdf

    2018年3月30日 ... 問3 妊婦加算は、妊婦が感冒等の妊娠に直接関連しない傷病について受診を行. った
    場合に算定可能か。 (答)初診料、 ..... 答)①中央社会保険医療協議会の議論に資する
    目的で実施される調査が対象. であり、平成 30 年度下半期から平成 ...

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