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ホーム全日病ニュース(2021年)第997回/2021年11月1日号地域医療総合確保基金の交付状況を報告

地域医療総合確保基金の交付状況を報告

地域医療総合確保基金の交付状況を報告

【厚労省・総合確保基金会議】医療分は556.2億円、勤務医負担軽減分は18.6億円

 厚生労働省の医療介護総合確保促進会議(田中滋座長)は10月11日、地域医療介護総合確保基金の交付状況や執行状況の報告を受けた。また、「地域における医療及び介護を総合的に確保するための基本的な方針」(総合確保方針)の改定に向けた進め方を了承した。

総合確保基金の交付状況を報告
 医療分の2020年度の交付額(国費)は、556.2億円となった。都道府県負担を含めた基金規模は834.3億円。
 事業ごとにみると、「地域医療構想の達成に向けた医療機関の施設または設備の整備に関する事業=事業区分1」が220.0億円、「居宅等における医療の提供に関する事業=事業区分2」が31.0億円、「医療従事者の確保・養成に関する事業=事業区分4」が286.5億円、「勤務医の労働時間短縮に向けた体制の整備に関する事業=事業区分6」が18.6億円となっている。
 このうち、2020年度から新設された事業区分6の交付先は18府県にとどまり、29都道府県で交付がなかった。
 日本医師会副会長の今村聡委員は、「医師の働き方改革のためにも非常に重要な事業であるが、交付額が少なく都道府県間の差がある。医療現場で働き方改革が求められている地域でも交付がない状況だ」と述べ、要因を調査し改善を要請。日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、「どういう事例で使っているのかがよく見えない。事例を示してほしい」と要望した。
 厚労省は、「コロナ対応で働き方改革まで手が回らなかったという声も聞いている。今後、都道府県や医療機関に説明し、取り組みを進めていきたい」と理解を求めた。
 交付額556.2億円の公民の割合は、公的機関27.9%(155.3億円)、民間機関60.0%(334.0億円)、交付先未定12.0%(66.9億円)となった。
 事業別では、事業区分1=公26.3%、民52.7%、事業区分2=公14.6%、民80.0%、事業区分4 = 公28.8%、民64.6%、事業区分6 = 公56.2%、民43.8%で、事業区分6以外は公的より民間への交付割合が高かった。
 事業区分6で公的の割合が高い理由について厚労省は、「公的医療機関は、病床規模が大きい施設が多かった」と指摘している。
 2014年度から2019年度までの執行状況をみると、交付総額(国費)3,582億円に対し、執行(予定)総額は3,076億円で、執行(予定)率は85.9%となった。執行(予定)率100%は大阪府や兵庫県、神奈川県など1府10県となっている。

コロナ禍を踏まえ総合確保方針改定
 「総合確保方針」は2014年9月に制定され、2016年12月に一部が改定された。一方、2024年度に「第8次医療計画」と「第9期介護保険事業(支援)計画」の同時改定があることから、「医療計画基本方針」と「介護保険事業計画基本指針」の改定が行われる。
 厚労省は、「これらの改定を踏まえ、地域医療構想を含む第8次医療計画や第9期介護保険事業(支援)計画の進捗状況等を踏まえつつ、2022年末を目途にとりまとめることを目指して、総合確保方針の改定に向けた議論を行うこととしてはどうか」と提案し、了承された。
 総合確保方針改定の論点としては、①足下の感染症対策はもちろんのこと、人口動態の変化への対応など、より長期的な事項について検討すべき②引き続き、地域包括ケアシステムの構築を進め、一層の医療介護連携政策を推進していくことが重要ではないか③医療・介護間の情報共有を可能とするための標準化など、より一層のデジタル化による医療・介護の情報連携の強化が重要ではないか─の3点をあげた。
 委員からは、「コロナ禍で明らかになった問題点、特に医療提供体制の機能分化・連携、集約化なども総合確保方針のなかに取り込むべき」、「ICTについては国の役割を総合確保方針のなかで示すべき。デジタル庁と連携しながら、基盤整備に取り組んでほしい」、「標準化については、システムの統一化の方向を示してほしい」、「質の高い医療提供体制の整備や地域包括ケアシステムの構築は地域での取り組みが重要だが、日本全体としてバランスをとった体制構築も大切」といった意見が出た。

 

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