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ホーム全日病ニュース(2021年)第997回/2021年11月1日号医療資源を重点的に活用する外来の呼称案めぐり様々な意見

医療資源を重点的に活用する外来の呼称案めぐり様々な意見

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【厚労省・外来機能報告WG】「紹介外来」や「医療資源活用外来基幹医療機関」を例示

 厚生労働省の外来機能報告等に関するワーキンググループ(尾形裕也座長)は10月20日、患者が紹介を受けて外来受診することを基本とする「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の呼称案を示した。「紹介外来医療機関」や「医療資源活用外来基幹医療機関」などが例示されたが、委員からそれぞれの呼称案に様々な意見があり、まとまらなかった。
 紹介外来医療機関と医療資源活用外来基幹医療機関のほかに、◇紹介患者への外来を基本とする医療機関◇紹介による受診を基本とする医療機関◇紹介受診医療機関◇紹介医療機関を例示した。また、厚労省は、医療機関と外来の呼称の両者が必要であると説明した。
 このため、外来の呼称として、◇紹介患者を基本とする外来◇紹介による受診を基本とする外来◇紹介基本外来◇紹介外来◇医療資源活用外来を例示した。
 「医療資源を重点的に活用する外来」は、紹介患者が多い外来だが、①医療資源を重点的に活用する入院前後の外来②高額等の医療機器・設備を必要とする外来③特定の領域に特化した機能を有する外来(紹介患者に対する外来等)が一定割合以上であるという3つの基準で決まる。紹介患者だけの基準ではない。
 ただ、厚労省は、法令的に規定される呼称ではないということと、わかりやすさと正確性は相反することから、わかりやすさの観点を優先すべきとの考えを示した。今後の検討で、医療機関が広告できる対象になる可能性が高いことも背景にある。患者側を代表する委員からも、「『紹介』という言葉を用いる方が、地域住民にとってはわかりやすい」との意見が出た。
 一方、全国自治体病院協議会会長の小熊豊委員は、正確性を優先し「医療資源」を用いるべきと主張した。

初診と再診で該当割合を分析
 「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」の国の基準を定めるため、地域医療支援病院の状況を踏まえ、現状で案の段階の外来の該当項目に基づき、データ分析を行った結果が示された。
 「初診の外来件数のうち、『医療資源を重点的に活用する外来』の件数の占める割合」が一定割合以上で、かつ「再診の外来件数のうち、『医療資源を重点的に活用する外来』の件数の占める割合」が一定数以上であることを基準とした。
 その結果、全610施設の200床以上の地域医療支援病院の初診と再診の両者に該当する割合は、再診での該当割合を高く設定すると、両者に該当する地域医療支援病院の割合がより低くなる傾向が示された。
 例えば、初診35%、再診20%のケースだと地域医療支援病院の94%が基準に該当する。初診50%でも再診20%だと79%が基準に該当する。しかし、初診35%、再診30%だと基準に該当する地域医療支援病院は57%まで下がる。初診50%、再診30%だと基準に該当する地域医療支援病院は50%まで下がる(図表を参照)。
 全日病副会長の織田正道委員は、「呼称とも関連するが、地域では200床以上の病院でも一般的な外来をやっているので、(初診と再診の両者に該当する割合が)低い数値で基準を設定するのはよくない。医療機関が少ない地域などへの配慮が必要だ」と指摘した。
 日本医師会常任理事の城守国斗委員は、「初診は検査などで、基準に該当する場合が多いが、再診でも『医療資源を重点的に活用する外来』であることが多い外来が新たに位置づける外来であるべきだ。その観点で、両者の該当割合の基準を設定すべき」と述べた。ただ、厚労省は現段階で、「初診と再診のどちらかを重視するとの考えは持っていない」と説明した。
 また、厚労省は、新たな外来の位置づけについて、データ分析で示したように、現状の地域医療支援病院程度の外来の状況が、基準を設定する上での目安になるとの考え方を示している。
 日本医師会副会長の今村聡委員は、「医療資源を重点的に活用する外来」に該当する項目案について、「医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来」では、DPC入院で出来高算定できる「処置」として1,000点以上を設定しているのに対し、「高額等の医療機器・設備を必要とする外来」では、地域包括診療料の包括範囲外としている「検査」「画像診断」「処置」として550点以上を設定していることから、「1,000点以上に統一すべき」と主張した。
 日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、透析の外来が項目に該当することに対して、改めて懸念を示した。
 これらの項目を変更すれば、図表で示されるような初診と再診の該当割合は変化するため、引続きデータ分析が必要とされた。初診と再診の区別が病院により異なるとの指摘もあり、それを基にした該当割合の全国一律の基準は厳密な尺度にはなり得ず、地域の実情を勘案することが必要との指摘も相次いだ。

 

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