全日病ニュース

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資源配分の「高齢者から子供へのシフト」を提起

資源配分の「高齢者から子供へのシフト」を提起

【経済財政諮問会議】
50年後の日本の成長モデルで「中間整理」

 5月15日の経済財政諮問会議に「『選択する未来』委員会の中間整理」が報告された。「選択する未来」委員会は、50年先の日本をどうすべきかというテーマの下、わが国の中長期的な発展を可能とするための課題とその解決の方向を探るために、1月に諮問会議に設置された専門調査会。
 将来どんな日本を選択するのかという問題意識から「選択する未来」委員会と称し、3つのワーキンググループを設けて議論を重ねた結果、基本的な考え方がまとまったことから、諮問会議の議論に付すため、中間報告として報告したもの。
 同委員会の三村明夫委員長(日本商工会議所会頭)は、「中間整理」の主たるメッセージは、(1)「現状のまま何もしない場合には極めて困難な未来が待ち受けている」という危機意識を共有する必要、(2)しかし、「制度、政策、人々の意識が速やかに変わるならば、未来は変えることができる」という決断と実行の必要、の2つであると説明した。
 「現状のまま何もしない場合の未来像」に「制度、政策や人々の意識が速やかに変われば、『人口急減・超高齢社会』への流れは変えられる」と成長・発展モデルを対置した「中間整理」は、「50年後に1億人程度の人口保持」を国家目標に掲げ、「資源配分を高齢者から子供へシフトしていく」ことを提起。
 改革・変革の視点の1つに、「社会保障・財政を含む基盤的な制度」を含む「社会を支えている土台を大切」にし、「一流国としての発信力・貢献力を保持すること」をあげた。
 そして、「現状のまま何もしない場合の未来像」に「医療・介護費の増加による財政破たん」の可能性をあげ、費用増加に歯止めをかける方向として、①ITの活用や技術革新による費用の抑制、②高額医療の原因となる疾病を中心に生活習慣の改善などの予防の取り組み、③サービスの地域的偏在の是正を含め、人材・技術面等の効率的・効果的なサービス提供体制の構築を求めた。
 さらに、「ICTの活用や多様な人材・主体間の連携・交流による広域ネットワークの形成」によって地域を集約化・活性化して再生、農林水産業、観光・交流、医療等の分野に「働く場所をつくる」ことを提起している。
 「選択する未来」委員会は、引き続き定量的な分析を進め、重点課題と中長期的な政策の枠組みについて議論を重ね、年内をめどに最終報告を取りまとめる予定だ。
 甘利内閣府特命担当大臣は、「中間整理」の方向性を6月の骨太方針に盛り込む考えを明らかにした。