全日病ニュース

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「社会保障・税番号」の2016年開始に向け課題と論点を整理

「社会保障・税番号」の2016年開始に向け課題と論点を整理

【マイナンバー制度】
医療等の事務効率化、医療情報の蓄積・分析・管理等も用途の1つ

 政府のIT総合戦略本部に付設された「新戦略推進専門調査会マイナンバー等分科会」は5月16日、国民に社会保障と税の共通番号を割り当てるマイナンバー制度の普及に向けた作業課題と論点を整理した中間とりまとめを了承した。
 マイナンバー制度は2013年5月に成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(マイナンバー法)他関連3法により導入が決まった。
 市町村長は住民に個人番号(マイナンバー)を、国税庁は法人等に法人番号を割り振り、国・地方の機関における社会保障、税そして防災等の分野で申請・届出等の事務に利用する、というのが制度の主旨。
 マイナンバーは、国税・地方税の賦課徴収事務や被災時の対応だけでなく、年金、労働、福祉・医療他の社会保障分野で、中央省庁、都道府県、市町村の各機関を結びつけた情報提供ネットワークを介した資格取得や確認、各種の手続きそして給付事務に使われる「社会保障・税番号制度」である。
 こうしたシステムの構築によって、例えば、住民は医療・介護・健康等の自己情報を閲覧できるが、行政は住民の医療費の使用状況の把握など、事務効率以上の利活用が期待できる。
 さらに、マイナンバーにともなって住民には顔写真付きの個人番号カードが交付されるが、そこに埋め込まれたICチップの空き領域を利用すると、様々な情報提供ほかのサービスも可能となる。
 3月に設置された「マイナンバー等分科会」は、こうした「社会保障・税番号制度」について、(1)名寄せ(個人番号と法人番号)、(2)本人確認(個人番号カード)、(3)電子サービス(①マイポータル=情報提供等記録開示システム、②マイガバメント=行政のコンシェルジュとなるオンラインサービスやワンストップ型サービス)という3つの面から検討を重ね、実現に向けた方策の論点整理を行ない、中間報告とした。
 「社会保障・税番号制度」導入にいたるロードマップは、2015年10月をめどにマイナンバーの通知を開始し、2016年1月から本人申請による個人番号カードの交付を始め、並行してマイナンバーを使った照会、相談、公的書類への記載などの利用をスタート。17年1月にマイ・ポータルの運用開始を予定している。
 中間とりまとめは、「マイナンバーの利用範囲拡大」の対象に「医療・介護・健康等に係る事務の効率化や全国的なサービス連携等に関連する医療・介護・健康情報の管理及び医療情報の蓄積・分析等に係る事務」をあげ、制度基盤の活用可能性、想定される利用方法、期待される効果、制度・運用面の課題等について検討を進め、秋をめどに、検討状況を政府のIT政策統括責任者に報告するとしている。
 こうした議論の中で、医療・介護・健康情報の蓄積・分析の一環として、患者の診療情報(電子カルテ)を個人番号につなげることの是非が議論されたが、情報漏えいの恐れから見送られた。
 中間とりまとめを含め、IT総合戦略本部は6月に大綱をまとめる。