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ホーム全日病ニュース(2019年)第949回/2019年10月1日号「矜持─今こそ示せ、医療人のプライド」をテーマに愛知学会開く

「矜持─今こそ示せ、医療人のプライド」をテーマに愛知学会開く

「矜持─今こそ示せ、医療人のプライド」をテーマに愛知学会開く

【第61回 全日本病院学会 in 愛知】地域医療構想めぐり官民の役割分担で熱い議論

「第61回 全日本病院学会in愛知」が9月28・29日、愛知県支部の担当で開催された。テーマは「矜持─今こそ示せ、医療人のプライド」。人口が減少し、社会の支え手が少なくなる中で、病院は大きな変革を迫られている。直近では、地域医療構想、働き方改革、医師偏在対策という、いずれも病院の存立を脅かしかねない課題がある。学会直前の26日には、再編統合の再検証の対象となる424の公立・公的病院が公表された。それもあり、民間病院と公立・公的病院がどう役割分担し、地域の医療提供体制を構築するかをめぐり、熱い議論が展開された。そのほか学会では、病院経営に直結する課題をめぐって様々な企画が行われた。

 太田圭洋学会長は講演で、人口減少社会を見据え、地域医療体制は必然的に、紆余曲折を経ながらも、病院の機能分化・連携、地域包括ケアシステムの構築へと進み、質の高い効率的な経営を行わないと病院は生き残れなくなると強調した。民間病院はこれまで公立・公的病院との役割分担の下、地域医療を守り支えてきた。学会テーマを「矜持」とした理由はそこにあり、「今こそ、我々は医療人のプライドを示し、変革に向き合おう」と訴えた。
 日本医師会の横倉義武会長も講演で、「民間の中小病院が日本の地域医療の多くの領域を担ってきた。テーマは非常に時宜にかなったもの」と述べた。
 学会企画では、公私の役割分担を含め、「競争」よりも「協調」を重視して地域医療を話し合う地域医療構想に関連するシンポジウムを充実させた。
 「官民格差徹底討論‼」と題したシンポジウムでは、官民の病院を代表する識者がお互いの主張を展開したが、それでも民間に代替できる医療機能は、補助金が投入されない民間病院が担うのが望ましいとの意見で一致した。実績の乏しい公立・民間病院は病床削減などダウンサイジングが望ましいとの方向性でも異論がなかった。
 働き方改革をめぐっては、厚生労働省の鈴木康裕医務技監が講演で「経営やワーク・ライフバランスの問題であるとともに、医師の『資格』問題にもなる」と指摘。時間外労働規制違反が罰則を伴うため、医道審議会の免許停止を含む行政処分の対象になり得るとした。
 学会企画では、そのほか、ムダを省く効率的な経営を学ぶ「トヨタのものづくり」、人手不足と働き方改革を背景とした「令和時代の職場環境作り」、本人の意思を尊重するための「地域包括ケアとACP」、技術革新が目覚ましい「AI・IoTと地域医療」、介護労働者不足問題で期待される「医療介護と外国人労働者」、地震大国日本で不可避の「必ずくる震災でも病院が機能するために」、病院経営を支える「病院事務職の矜持」、来年度から様々な対策が進む「医師偏在の現状」とともに、各委員会企画などが実施された。
 (全日病ニュースでは、10月15日号、11月1日号、11月15日号で愛知学会の模様を紹介します)

 

全日病ニュース2019年10月1日号 HTML版

 

 

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