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看護の処遇改善を確実に賃金に反映

看護の処遇改善を確実に賃金に反映

【中医協・総会等】介護等の処遇改善加算を参考に担保措置を議論

 中医協総会(小塩隆士会長)は6月15日、看護の処遇改善をめぐり議論を行った。診療報酬による措置が確実に賃金に反映される担保措置を議論した。6月10日の入院・外来医療等の調査・評価分科会と同様(4面記事参照)に、入院料等の算定回数と看護職員数のデータを病院ごとに紐づけて分析し、点数のシミュレーションを実施した結果が示された。
 看護の処遇改善の診療報酬による措置が確実に賃金に反映される担保措置については、昨年12月22日の後藤茂之厚生労働大臣と鈴木俊一財務大臣の折衝事項で、介護・障害福祉の処遇改善加算の仕組みを参考に、適切な担保措置を講じることが合意された(右表参照)。
 現在の介護処遇改善加算や看護職員等処遇改善事業補助金では、計画書や実績報告書の提出を介護施設や病院に求めている。介護・福祉の処遇改善では、賃金改善の合計額の3分の2以上は、基本給または決まって毎月支払われる手当ての引上げにより処遇改善を図るとの措置も講じられている。
 日本看護協会常任理事の吉川久美子専門委員は、「基本給による賃金改善が望ましい」と主張した。
 処遇改善を行える対象者については、多くの委員から、看護職員等処遇改善事業補助金では外れている「病棟薬剤師を含めるべき」との意見が出た。全国健康保険協会理事長の安藤伸樹委員は、「コメディカルとして活躍している病棟薬剤師は含めるべき」と述べた。
 シミュレーション結果については、入院料に100種類の点数を設定した場合に、各病院の処遇改善の必要額と、上乗せ点数の合計の過不足のばらつきが、かなり小さくできることが示されたことに対し、中医協総会と、総会前に開催された基本問題小委員会の委員から、その方向性でさらに分析を進めるべきとの意見が相次いだ。
 日本病院会副会長の島弘志委員は、「極めて難しい制度設計に、一筋の光明が差し込んだ感じがする」と指摘。入院料に100種類の点数を設定した場合に、ばらつきが小さくなることを評価した。その上で、「看護の処遇改善により、患者負担が増加することや、医療従事者の不平等感が生じることなどに配慮し、国民に納得してもらえる仕組みにする必要がある」と述べた。
 患者負担増については、日本医師会常任理事の城守国斗委員が、「入院と外来では、患者負担の受け止め方が異なることに注意が必要」と指摘した。健保連理事の松本真人委員は、「入院の場合、高額療養費の対象となる場合がある。その場合は、保険者がより負担する」と述べた。外来の場合で患者の負担感が大きいことが示唆された。

 

全日病ニュース2022年7月1日号 HTML版

 

 

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