全日病ニュース

働き方改革に備えよ

【静岡学会・看護師特定行為研修委員会】～手順書を活用したこれからのチーム医療の展望

　厚生労働省医政局看護課の後藤友美室長から、看護師特定行為研修制度の現状報告があり、制度開始後６年の本年３ 月時点で約4,800人の修了者であったものが、９月では約6,000人と弾みがつき始めたことが報告された。量的拡大とともに、今後の質的拡大、実際に臨床現場での業務拡大の仕組みを整えるタイミングであるという認識に立つべき時と示唆された。
　大型病院として上尾中央病院の小林郁美看護科長は、現在37人の修了者が活躍し、200件／月の特定行為を実施し、その80%が日中であることを示した。課題として、院内周知とし、指示を得るためのテンプレート化の工夫、また敢えて指示を得るために直接指示として確認しながらの特定行為実施を行うといった工夫を示した。
　中型病院として恵寿総合病院の船山真理子副看護部長は、29人の修了者が40件／月の特定行為を実施し、特定行為研修修了者の勤務表を院内で共有して、特定行為が発生した時の応援体制を組んだことや、クリティカルパス内に特定行為指示を組み込むことによる実施件数を増やす工夫を示した。
　かがやき訪問看護ステーション前橋の村松真吾管理者からは、指示医が別組織であり、かつ90人と多い中で周知不足が問題になっている実態が示され、その中の工夫として、地域におけるSNSを利用した情報共有をあげた。地域での手順書の共有化を図る必要性が示された。
　総合討論で、看護師のキャリアパスの中に本制度をいかに位置づけるか。それによる看護師の底上げとチーム医療のキーマンとしての好事例の収集・周知が重要とされた。