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ホーム全日病ニュース(2022年)第1022回/2022年12月1日号中小病院はいかにして機能評価を受審するか

中小病院はいかにして機能評価を受審するか

中小病院はいかにして機能評価を受審するか

【静岡学会・病院機能評価員会企画】~受審支援モデル事業について

 当委員会企画は10月2日9時から10時30分まで開かれ、53名の参加といつもより参加者が多いと思われた。まず座長の木村厚常任理事からこの企画の説明があった。全日病の会員のおよそ32%が日本医療機能評価機構の病院機能評価認定を受けているが、特に全日病の会員に多い中小病院での認定率が低い。人、物、金が少ない全日病会員であるが、そこを何とか援助していきたいという思いで始まった受審支援モデル事業である。
 中小病院で応募してきた1病院を選び、機能評価支援事業を無料で行って認定に持って行き、その模様を全日病ニュースや学会で発表していただき、会員病院の受審増につなげたいという事業である。
 今までも全日病ニュースなどに発表しているが、今回はその報告の一環として、2つの支援受託病院の代表と、当委員会委員の2名にご講演いただいた後、フロアの参加者も交えて討論したいと考えた。
 まず当委員会の第1回目の支援病院である、香川県の樫村病院理事長の樫村重樹先生に講演いただいた。樫村病院は香川県高松市の隣の三木町にあり、高齢化率が高い地域である。病院は37床で全床地域包括ケア病棟である。病院として3つの理念はあったが、地域で生き残れる中小病院となるためには課題が多く、組織の基盤整備の方法、良質なサービス提供を行うためには病院の質の担保となるものが必要と考え、機能評価受審の意義が病院組織の道しるべとなると考えた。当委員会委員の熱心な支援があり、結果として一般病院Ⅰで認定されただけでなく、リハ部門ではSランクも獲得できたことは喜ばしいとのことであった。
 2番目は当委員会委員で担当副会長である群馬県伊勢崎市の美原記念病院院長の美原盤先生の講演であった。美原先生は実際に樫村病院の支援に行った経験と機能評価の意義について話された。まず病院の理念、ミッション、基本方針、目標とはいかなるものであるかを説明し、そのうえで樫村病院の病院理念と年間目標につき具体的に説明された。
 第Ⅰ領域の面接のポイントを代表にあげてみよう。①ストラクチャー・プロセス・アウトカムを意識する。②継続的な改善活動をアピールする。前回の受審時と何が変わったのか?③プレゼンテーションの担当者を決めて、必要に応じて資料をプリントアウトしておく―等であった。
 3番目は広島県福山城西病院看護主任の入江美紀さんであった。同病院は一般病床33床(うち地域包括ケア病床6床)、療養病床28床。透析ベッドが53台あり、人工透析が中心の病院である。2022年の4月に機能評価機構の本審査を受けるはずであったが、新型コロナの蔓延、幹部職員の退職などで予定が延び延びになっていた。ここで諦めたら、何のための支援かわからないので、引き続き受審支援事業を継続しているところである。
 城西病院での最大の問題は各部署で様々な書類が存在し、さらに更新ができていなかったことであり、共通書類の把握と書類の様式と書式の統一を行い、感染マニュアルや医療安全マニュアルの更新、今までなかった高齢者虐待や患者離院マニュアルなどの作成を行った。
 最後に、当委員会の看護アドバイザーであり、福山城西病院の支援を行っている木村由起子委員に講演をお願いした。木村さんは、オンライン支援はPCを使用し、70枚の写真を参照しながら行ったと述べた。さらに訪問による支援として①マニュアル類の内容確認②入院患者への処方指示と処方箋の在り方③紹介患者と先方とのやり取りと患者への説明―等を行ったと説明した。
 その後、当委員会で行っている病院機能評価受審支援事業について、その歴史や現状についてグラフや数値を示して説明があった。まとめとして、①病院機能評価は院内全体の質改善②職員全体で取り組み、誇れる病院となる―ことが病院機能評価認定の意義であるとした。
 その後フロアの参加者も交えて4つの質問に答えてお開きとした。

 

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