全日病ニュース

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2022年度診療報酬改定を振り返る

2022年度診療報酬改定を振り返る

【静岡学会・医療保険・診療報酬委員会企画】

 新型コロナ禍で2回目の改定となる2022年度診療報酬改定では、入院基本料の大幅な見直し、重症度、医療・看護必要度の見直し、地域包括ケア病棟の要件の厳格化等の極めて厳しい改定が断行された。団塊世代が後期高齢者となる2025年の直前に行われる、2024年度医療・介護の同時改定の序章とも言える極めて厳しい内容であり、たとえコロナ禍であっても、診療報酬改定による医療提供体制改革の手は決して緩めないという厚生労働省・財務省の強い意志が示された。
 前回2020年度診療報酬改定では、各入院料の見直し、重症度、医療・看護必要度の見直しが行われたものの、新型コロナ感染症の影響で経過措置延長が繰り返され、また新型コロナ感染症に係る診療報酬上の臨時的取扱い通知(いわゆるコロナ特例・同補正)による実績要件の救済措置等もあり、医療現場に於いては現実的に大きなインパクトを感じることなく経過した。その後の中医協の議論でも、入院医療、感染対策、オンライン診療、不妊治療等、多岐にわたる検討が行われたが、新型コロナ感染症による医療機関へのダメージ等を考慮すれば、恐らく大胆な改定は行えないはずとの見方があった。しかし、この期待は見事に外れた。
 今回の委員会企画では、「2022年度診療報酬改定を振り返る」として、3人の演者による講演後、猪口雄二会長の司会のもと、総合討論を行った。
 まずは、①社会医療法人名古屋記念財団名古屋記念病院理事長の太田圭洋先生より、「2022年改定はどの様な改定だったのか?~その概要、意義について総論~」として、診療報酬制度の成り立ち、その仕組み、今回改定のポイントと、その影響について総論的に講演いただいた。
 次に②医療保険・診療報酬委員会の津留英智委員長(社会医療法人水光会宗像水光会総合病院理事長)より、「2022年改定はどの様な改定だったのか?~急性期における重症度、医療・看護必要度について~」として、急性期一般入院料の見直し、重症度、医療・看護必要度の見直し、特に心電図モニターの管理が廃止されるに至った、入院・外来医療等の調査評価分科会での議論、中医協での議論、公益裁定までのプロセスについて、また高度急性期への高点数の配分についての課題、2024年度改定に向けての注意点について講演があった。
 最後に③医療法人社団和楽仁芳珠記念病院理事長の仲井培雄先生より、「最大で最強の地域包括ケア病棟ver.2.0」として、今回改定での地域包括ケア病棟に対する要件の厳格化の問題、今後の地ケア病棟のあり方、その課題と方向性についても講演をいただいた。
 その後の討論では、「重症度、医療・看護必要度の心電図モニターの管理廃止」について、医療現場への影響と今後の見通し、必要度Ⅱに移行する動きとコロナ特例で急性期一般入院料Ⅰへの影響はある程度限定的との見通し、コロナ特例が今後廃止になった場合の地域医療への影響について、高度急性期とその他一般急性期の医療機能の格差の問題、新型コロナ病床の運営の問題と一般入院診療の両立の問題、いわゆる新型コロナの出口戦略についても意見が交わされた。今回2022年度改定が地域医療、特に急性期医療にどのような影響を与えるのかについて、今後ともしっかりと注視していくことが重要であるという点で、認識が共有された。

 

全日病ニュース2022年12月1日号 HTML版

 

 

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