全日病ニュース

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特定行為、研修内容、研修施設指定基準の議論を開始

特定行為、研修内容、研修施設指定基準の議論を開始

【護師特定行為・研修部会】 来年10月施行へ、年内に結論。4月から指定開始。しかし、初回から議論が激化

 医道審議会保健師助産師看護師分科会に看護師特定行為・研修部会が設置され、9月10日に初会合が開かれた。全日病から神野正博副会長が委員として出席した。
 同部会の設置は、6月に成立した医療介護総合確保法で創設された「特定行為にかかわる看護師研修制度」の具体化を図ることが目的。
 同制度は、医師が患者を特定した上で、看護師に手順書にもとづいて一定の診療補助行為を実施するよう指示した場合、看護師は医師の判断を待たずに手順書によって当該行為をできるという仕組みを指し、そうした技能等を獲得した看護師を配置するために、対象となる行為を特定するとともに、行為区分にもとづいて教育内容を標準化した研修制度を創設し、計画的に養成していくというもの。
 特定行為の区分を単位に行なう特定行為研修は、指定を得た。病院を含む機関・学校が実施できる。こうした仕組みを具体的に固めるのがこの部会の役割である。
 事務局(厚労省医政局看護課)は、①特定行為と特定行為区分を決める、②特定行為の研修内容を決める、③指定研修機関の指定と取消しの要件を定める、という3点を部会の審議事項にあげた。
 国立病院機構理事長の桐野高明氏を部会長に選んだ後、事務局は部会設置にいたった経緯と制度の大枠、残された課題を説明。その上で、12月までに部会をあと4回開催し、年内に結論を得るという短期の審議日程であることを明らかにした。
 制度の施行日は2015年10月1日である。したがって、15年度予算に計上される予算額を確定するとともに、年度末に省令通知を制定し、関係者に周知の上、16年度前半に指定研修機関の募集と指定を終えておく必要がある。
 タイトな日程ではあるが、「チーム医療推進のための看護業務検討WG」で3年半にわたって議論を尽くし、枠組みに関してはコンセンサスが取れているとみられただけに、委員の多くはすんなり個別議論に入るものとみていた。
 しかし、初会合のこの日、前述WGでまとまった「14区分からなる41の特定行為」に対する疑問、当該看護師が事故を起こした場合の責任所在をめぐる異論、「2025年までに10万人以上の研修修了者の輩出を想定している」とした岩沢看護課長発言に対する違和感などが噴出。この日の部会はカンカンガクガクの看護業務検討WGを思い出させる意見応酬に包まれた。
 その結果、「14区分からなる41の特定行為」を一部見直す方向での議論が避けられなくなった。