全日病ニュース

医療安全対策で医師の専従配置評価などを検討

【中医協総会】猪口会長は要件緩和を主張

　中医協総会（田辺国昭会長）は10月11日、次期診療報酬改定に向け、救急、小児・周産期、医療安全対策の個別事項を議題とした。厚生労働省が示した論点に対して、概ね委員の了解を得たが、妊産婦への外来管理では具体案が示されなかった。また、医療安全対策では、医師などの専従配置の評価が論点となったが、全日病会長の猪口雄二委員が専従要件の緩和を主張し、さらなる議論を深めることとなった。
　救命救急入院料を見直す
　救命救急入院料は、救命救急センターの充実段階評価のＡ評価で１日1,000点、Ｂ評価で１日500点を加算している。現状で救命救急センターのうち278病院がＡ評価で、１病院だけがＢ評価となっている。この充実段階評価の見直しが検討されており、それに合わせて、救命救急入院料の見直しを行う。見直しでは、ストラクチャーを中心にした評価から、プロセスを含めた評価を取り入れ、点数換算の方法も変更する。具体的には、地域内の重篤患者の受入率や地域の関係機関との連携を評価項目に加える。
　猪口委員は見直しに賛意を示した上で、「本来２次救急で診るべき患者を３次救急が受けていることがある。今回の見直しでそれを改善できるか」と質問。厚労省は「本来の役割分担が進むよう期待するが、充実段階評価の見直しだけですべては解決しないので、他の施策とあわせて、検討したい」と回答した。
　小児の入院医療については、助成制度である小児慢性特定疾病医療支援の対象である場合に、小児への手厚い入院医療管理を評価する小児入院医療管理料の対象を、2016年度改定で15歳未満から20歳未満に拡大している。一方、小児特定集中治療室管理料は小児慢性特定疾病医療支援の対象であっても、15歳未満でないと算定できない。厚労省は、15～ 19歳の年齢で、小児入院医療管理料の算定が一定程度あることから、小児特定集中治療室管理料についても、20歳未満まで算定できるよう見直すことを提案した。
　妊産婦に対する医療では、尿路感染症など頻度が高い合併症や、虫垂炎など診断が困難な疾患などがあり、これらの合併症・疾患を念頭に置いた外来診療が必要とされることから、そのための外来管理を診療報酬で評価することが論点となった。また、妊娠中・産後の自殺のうち、うつ病や躁うつ病、統合失調症などは医療体制の強化で防ぐことができると指摘。産科や精神科、自治体などが連携して、患者を診療する体制の評価の検討も促した。評価の方向性に異論はなかったが、具体的な見直しでは、追加資料を基にさらなる検討が必要とされた。
　医療安全対策については、特定機能病院で専従の医師、薬剤師、看護師を配置した医療安全管理部門の設置が義務付けられたことを踏まえ、その他の医療機関においても、医療安全管理部門への専従の医師などの配置を医療安全管理加算で評価することが論点になった。これに対し医師配置など外形基準だけで医療安全対策を評価することに反対意見があった。猪口委員は、「医師を新たに配置することによる人件費増の病院への影響は大きい。専従要件の緩和を今後議論したい」と主張した。