全日病ニュース

がんゲノム医療の整備指針案を了承

【厚労省・がん診療提供体制検討会】中核拠点病院が連携病院を申請

　厚生労働省の「がん診療提供体制のあり方に関する検討会」が10月18日に開かれ、がんゲノム医療の提供体制について議論、がんゲノム医療中核拠点病院の指定要件を含むがんゲノム医療中核拠点病院等の整備指針案を基本的に了承し、細部の修正を事務局（厚生労働省健康局がん・疾病対策課）に委ねた。
　整備指針案は、第３期がん対策推進基本計画案に盛り込まれたがんゲノム医療に関して、「がん診療連携拠点病院等の指定要件に関するワーキンググループ」と「がんゲノム医療中核拠点病院（仮称）等の指定要件に関するサブワーキンググループ」がまとめた報告書を踏まえ、がん・疾病対策課によってまとめられた。
　 　その中で描かれた将来像によると、がんゲノム医療提供体制の枠組みとして、がんゲノム医療中核拠点病院とその連携病院によって、通常のがん医療とがんゲノム医療を一体的に提供する体制を、段階的に、すべての都道府県に構築するイメージが示されている。
　がんゲノム医療中核拠点病院は、がん診療連携拠点病院の中から指定され、中核拠点病院が連携病院を申請する。
　がんゲノム中核拠点病院は、遺伝子パネル検査の医学的解釈が自施設内で完結できる体制を確保、かつ臨床研究中核病院もしくはそれに準じた体制を整え、研究開発、治験・先進医療主導、診療支援、人材育成の機能を担うとともに、がんゲノム連携病院は遺伝子パネル検査を活かした医療を拠点病院と連携して実施する。そのために、指定申請にあたって拠点病院は連携病院の推薦リストを提示し、同時に審査を受けることになる。
　両者の緊密な情報共有と連携によって、患者は、中核拠点病院に移ることなく連携病院でがんゲノム医療を受けることができるというのが厚労省の構想だ。
今年度中に中核拠点病院を指定
　厚労省は中核拠点病院を2017年度内に指定する方針で、前出サブワーキンググループは現時点の12病院ほどと想定しているが、指定にあたっては「がんゲノム医療の質（集積性）」とともに「地域性の考慮」を踏まえるとしている。中核拠点病院等のあり方は２年以内に見直されることになる。
　中核拠点病院の指定要件案の一つに、パネル検査結果の医学的解釈が可能な多種職の専門家集団からなる検討会（エキスパートパネル）の定期開催がある。この構成メンバーについて、全日病副会長の神野正博構成員は「エキスパートパネルには倫理や医療安全の専門家は入らないのか」と質問した。
　佐々木昌弘がん・疾病対策課長は「エキスパートパネルの構成員については、検査結果の患者説明に医療者以外のスタッフを求めることと併せて検討していきたい」と答え、構成メンバーの拡大に含みをもたせた。また、中核拠点病院の指定要件案は臨床検査室や病理検査室に第三者認定を課しているが、構成員からISOを想定する声が上がった。これに対して、神野構成員は「第三者認定については、医療安全を含め、病院機能評価などなんらかの認定取得を明確にするべきである」と注文し、他の構成員からも同様の意見があった。
　また、この日の検討会は、現行がん診療連携拠点病院等の指定期限を、新たな指針が施行される2019年４月に揃えたいとする厚労省の方針を了承した。
　2018年３月末に期限を迎える拠点病院は1年間延長となり、2020年以降に期限を迎える拠点病院は前倒しでの更新となる。