全日病ニュース

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現状が変わらなければ労働規制導入は困難

現状が変わらなければ労働規制導入は困難

【厚労省・医師の働き方改革検討会】現場の医師からヒアリングを実施

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」(岩村正彦座長)は10月23日、医師の勤務実態を把握するため救急などの現場で働く医師からヒアリングを行った。現状の働き方や勤務環境が変わらない限り、時間外労働の規制は難しいことが浮き彫りになった。
 ヒアリングでは、東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センターの赤星昻己構成員が、週99時間、当直が月4回、休日が月2回という勤務実態を報告。他科と比べ救命救急科は労働時間が長く、時間外労働の上限規制は、「現状のままなら不可能」と述べた。
順天堂大学眼科助教の猪俣武範構成員は、大学病院管理職の状況を説明。「労働」と「自己研鑽」を明確に分離することの難しさを強調し、「自己研鑽の時間を規制すると、医療の発展の停滞を招く」と述べた。一方で、単純作業を他職種にまかせることによる適正化の意義はあるとした。
 そのほか、外科・産婦人科・小児科学会から勤務医の労働実態の報告があった。外科医の1週間当たりの当直を含めた労働時間は「80~ 100時間」が21%で最も多く、次いで「100時間以上」が19%。産婦人科は当直を除いた1週間の平均勤務時間が48.4時間、1カ月の当直回数は平均5.7回。小児科は1カ月の時間外・休日・深夜勤務の合計が一般病院で32時間だが、公的小児病院では63時間で差が大きい。

 

全日病ニュース2017年11月1日号 HTML版