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労働として取扱わない医師の研鑽の考え方示す

労働として取扱わない医師の研鑽の考え方示す

【厚労省・医師の働き方改革検討会】病院での上司による時間管理が課題

 厚生労働省は11月19日の「医師の働き方改革に関する検討会」(岩村正彦座長)に、時間外労働時間に行う医師の研鑽に関する基本的な考え方を示した。一般の労働者と同様に、使用者の強制がなければ、時間外労働には含まない。強制の有無は、客観的な基準で上司が判断するため、病院としての労働管理が重要になる。医療の特性・医師の特殊性を踏まえ、研鑽を阻害しない適切な運用が課題となりそうだ。
 一般的に労働時間は、使用者の指揮命令下に置かれる時間である。命令は明示される場合も黙示による場合もある。実際には労働せずとも、労働から離れることが保障されなければ労働時間に当たる。参加することが業務上義務づけられた研修や、使用者の指示による学習も労働時間として取扱われる。
 たとえ、労働契約や就業規則、労働協約で個別に定めても、労働の有無は、使用者の強制の有無で、客観的に定まる。ただ、使用者の強制があるかの判断は、個別具体的に判断される。これらは、医師にも当てはまる。しかし、医師の研鑽については、医療の特性・医師の特殊性を背景に、判断が困難で、関係者の共通認識がない状況にある。厚労省は、研鑽の類型に従い、労働の範囲に含む医師の研鑽の基本的な考え方を示した。
 「診療ガイドラインの勉強」「新しい治療法や新薬の勉強」「自らが術者である手術や処置等の予習や振り返り」は、診療の準備または診療後の後処理であれば、労働時間に該当する。ただし、自由意志で、上司の指示なく行う時間は、労働時間ではない。在院していても、上司の明示・黙示の指示がないと確認される場合は、労働時間ではない。
 「学会等への参加、発表準備等」「院内勉強会への参加」「本来業務とは区別された臨床研修の論文執筆等」「大学院の受験勉強」「専門医の取得・更新時の症例報告作成、講習会受講等」も、基本的には、同じ考え方である。奨励されていても強制されていなければ、労働時間ではない。
 「症例経験や上司・先輩が術者である手術・処置等の機会を確保するため、当直シフト外で時間外に待機し、診療や見学を行う時間」も、上司からの指示がなければ、労働時間ではない。ただし、見学中の手伝いや、見学中の診療が常態化している場合は、見学の時間すべてが労働時間に該当する。
 労働に含まれない研鑽は、通常業務と明確に切り分ける必要がある。例えば、◇勤務場所とは別の場所を設ける◇白衣を着用しないなどの対応が求められる。また、診療体制に含めることはできない。一方、突発的な事態が起こり、研鑽中に診療等の通常業務を行った場合には、労働時間となる。
 これらの時間管理を病院がどうやって行うかの運用面の課題がある。厚労省は、病院ごとに研鑽に対する考え方や時間外労働における取扱いを書面に記し、周知することや、手続きの履行を徹底する必要があるとしている。医師が労働に該当しない研鑽を行う場合は、自ら申し出て、上司による確認を得るなどの手続きも示した。病院内で医師への厳密な時間管理が可能であるかは、委員の間で温度差があった。

 

全日病ニュース2018年12月1日号 HTML版

 

 

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