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患者の賢い医療の選択に向けヒアリング

患者の賢い医療の選択に向けヒアリング

【厚労省・上手な医療のかかり方懇談会】厚労省はこれまでの議論を整理

 厚生労働省の上手な医療のかかり方を広めるための懇談会(渋谷健司座長)は11月12日、医療関係者の取組みについてヒアリングを実施した。ヒアリングでは、患者が賢い選択をすることで、有限な医療資源を有効に使うためのアイデアが示された。また、厚労省が「これまでの議論の整理と方向性」の案を示した。
 臨床研修病院群プロジェクト群星沖縄臨床研修センターの徳田安春センター長は、総合診療医としての取組みを紹介。2012年に米国で始まった学会主導の医療の選択キャンペーン運動に参加し、地域で、患者向けのパンフレット作成などに取り組んでいる。「兆候のない成人患者に、PET−CTや腫瘍マーカーによるがんスクリーニングをやらないこと」を呼びかけるなど具体例を示した。
 日本医師会の今村聡副会長は、医療保険財政の持続可能性を高めることの理解を得るために、厚労省と文部科学省による啓発と教育の必要性を強調した。さらに、「まず、国民はかかりつけ医を持つことが大切で、風邪で大規模病院を受診することは、大規模病院と患者ともに幸せなことではない」と述べ、かかりつけ医を中心とした切れ目のない医療・介護の提供の構築を強調した。
 健康保険組合連合会の河本滋史常務理事は、保険者として、加入員への上手な医療のかかり方を周知しているとした。具体的には、◇時間外・深夜・休日受診の不要不急な医療の抑制◇かかりつけ医を持つことの推奨◇重複受診の防止◇小児救急電話相談や救急相談センターの紹介など医療関連情報の提供─などを示した。
 一方、厚労省は「これまでの議論の整理と方向性」の案を示した。前回までの2回の議論をまとめている。
 小児医療については、患者・国民が不安を感じないように適切な情報を周知していくことが大事で、「困ったときに相談に乗ってくれる機能が医療機関内外に必要である」とした。現状でも子ども医療電話相談事業(♯8000)がある。
 だが、知らない人も多く、「既存の相談の仕組みを周知することからはじめるべきではないか」とした。その際に、電話番号だけでなく、スマートフォンなどにインストールするアプリなどの活用も指摘した。
 医療情報まとめサイトの創設については、「まずは救急・小児の分野から着手し、順次他の分野の情報の充実を図る」ことを提案した。サイトには、医療機関に関する情報も掲載し、どういう症状のときにどの医療機関にかかるべきか判断できる仕組みを整えるとしている。
 サイトだけでなく、マスメディアやパンフレット・リーフレットといった多様なツールを活用し、継続的な広報を実施する方針も示した。
 また、「医療者が大変だから受診抑制します、という発言の仕方では、国民の理解は得られないという意見」を踏まえ、救急医療などでの医師の働き方の現状を周知しつつ、あくまでも患者・国民のための取組みであることの周知が必要とした。

 

全日病ニュース2018年12月1日号 HTML版

 

 

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