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診療報酬での補てんの改善策で議論の整理

診療報酬での補てんの改善策で議論の整理

【中医協・消費税負担分科会】収入に占める入院料シェアを考慮

 中医協の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」(荒井耕分科会長)は11月21日、議論の整理を大筋でまとめた。医療機関の消費税問題に診療報酬で対応するには限界があるとの趣旨を盛り込む修正をした上で、総会に報告する。消費税を8%に引き上げた2014年度の対応では、病院に大幅な補てん不足があったことを踏まえ、税率10%での改善策を盛り込んだ。
 冒頭、補てん状況の検証で、データに誤りがあり、過去の検証結果が間違っていたことについて、「厚生労働省から謝罪があったが、分科会として、誠に遺憾であり、再発防止の徹底を求める」と明記した。
 今回の補てんの対応では、消費税5%~8%での補てんのばらつきが大きく、全体でも補てん不足があったことを踏まえ、5%~ 10%の部分で改善策を講じる。医科に関しては、①課税経費率②入院料の配点③初再診料と入院料の配点─に分けて、改善策を示した。個別項目への補てんについては、議論の経緯に触れた上で、対応は困難との考え方が示された。ただ、個別項目に関しては、支払側の委員から、引続きの検討を求める意見が出ている。
 課税経費率は精緻に把握できるよう工夫する。一般病棟と療養病棟を持つ病院は、療養病床の割合で分類するなどの対応を行う。なお、看護配置基準別の課税経費率では、特定の傾向は確認できなかった。
 入院料の配点は、病院種別や入院料ごとの入院料シェアを考慮し、消費税負担に見合う補てんを行う。2014年度の対応では、入院料シェアを考慮しなかったため、入院料シェアが相対的に低い病院種別は、補てん超過の傾向に、入院料シェアが相対的に低い病院種別は補てん不足の傾向が生じた。
 例えば、精神科病院の収入に占める入院基本料の割合は約16%、特定入院料の割合は約31%であるのに対し、特定機能病院ではそれぞれ約13%、約5%で、上乗せがある診療項目の収入に占める割合が異なる。それにもかかわらず、費用面の課税経費率の割合の違いだけに着目して、補てんの水準を決めていたため、2016年度の調査では、特定機能病院の補てん率は、精神科病院の129%に対し、61.7%だった。
 初再診料と入院料の配点は、病院における初再診料と入院の比率を変え、入院料の割合を高めることとする。
 使用するデータは、課税経費率の把握では、直近の医療経済実態調査を用いる。補てん点数項目の算定回数は、直近のNDBの通年の実績データを用いる。これらにより、可能な限り実態に即した計算を行うとした。
 基本診療料以外の個別項目に対して補てんすることついては、様々な議論があったが、困難との結論になった。
 これまでの議論で、診療側からは、「個別項目につけると後から検証できなくなる」、「どこまで細かくみるかと言う問題と、それにより精緻化できるかという問題がある」などの意見があった。一方、支払側からは、初再診料だけにあてたことが、診療所の補てん超過の理由であるとの疑念が強く、個別項目への補てんを検討すべきとの意見があった。
 しかし、今回の改善策を講じたシミュレーション結果からも、ばらつきは相当程度是正されることが示されたこともあり、個別項目への補てんは見送ることで合意を得た。
 全日病会長の猪口雄二委員は、「病院団体は2014年度での消費税対応以降、補てん不足とばらつきがあることを主張してきた。だが、厚労省の検証に間違いがあり、それが明らかになるのに時間がかかったのは残念だ。病院の経営は今厳しい状況にあるが、特に急性期病院の危機の一因がこの問題であることは間違いない。診療報酬で個別の医療機関に正確な補てんを行うことは不可能だが、より精緻な対応を図ることが必要になる」と述べ、議論の整理案に賛成した。

改善策を反映させ、シミュレーション
 厚労省は同日、今回の議論の整理における改善策を2016年度の補てん状況に当てはめたシミュレーション結果を公表した。病院の補てん率は改善前では、85.0%(1施設当たり年間▲315万円)から100.6%(同12.9万円)となり、100%を上回った。
 直近のデータは把握できないため、今回の改善策を講じた場合、消費税負担3%分の補てんがどうなるかを、2016年度の実績数値に基づき、過去にさかのぼってシミュレーションした。
 右図の結果をみると、病院の補てん不足がほぼ100%に改善したのに対し、一般診療所は、111.2% が99.8% まで下がったことがわかる。歯科診療所と保険薬局も補てん不足であったが、100%近くまで改善した。一般診療所の1施設当たり1年間の補てん不足は▲1千円という数字になっている。
 病院間のばらつきについては、精神科病院と特定機能病院の補てん状況のみを示した。2016年度補てん状況調査の結果では、精神科病院の補てん率は129.0%(同285万円)、特定機能病院は61.7%(同▲9,240万円)であった。今回のシミュレーションの結果では、精神科病院の補てん率は100.7%(同7万円)、特定機能病院は102.5%(598万円)となり、特定機能病院で大きく改善している。
 ただ、他の病院類型の比較は示しておらず、ばらつきがどれだけ改善するかを確認するには、不十分な内容。このため、「ばらつきの幅は大きくなったのか、それとも小さくなったのか」、「基本診療料の上乗せは何点になったのか」といった質問が相次いだ。
 しかし、厚労省は、「ばらつきの程度は集計していない。点数の変化については、あくまで消費税5%から8%での対応におけるシミュレーション結果であり、今回の5%分の対応とは異なり、点数が下がるという混乱を与えかねない」との説明に終始した。

<2016年度補てん状況調査の結果>

<今回のシミュレーションの結果>

 

全日病ニュース2018年12月1日号 HTML版

 

 

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    2018年8月15日 ... 控除対象外消費税の大幅な補てん不足が明らかに. 【中医協・消費税負担分科会】病院
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