全日病ニュース
費用対効果評価の本格導入の仕組みで骨子案
費用対効果評価の本格導入の仕組みで骨子案
【中医協・費用対効果評価等合同部会】価格全体では10%または15%が下限
中医協の費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会(荒井耕部会長)は1月23日、4月から本格導入となる医薬品などの費用対効果評価の骨子案を了承した。費用対効果に応じた価格調整率などを決めた。価格全体の引下げ率の下限は、「10%または15%」。また、既存薬より効果が高く、価格も下がる(ドミナント)の場合だけでなく、ICER(増分費用効果比)が200万円/QALY未満の場合も価格を引き上げる。
ただ、業界団体からのヒアリングがまだ残っており、曲折も予想される。
現在、費用対効果評価の仕組みは試行的導入の段階だが、来年度から本格的に始まる。保険償還の可否に用いず、保険収載後の価格調整の手段とする。費用対効果が高いものは引上げ、開発のインセンティブとする。
対象品目は、本格導入後に収載される医薬品だと、有用性系加算があり、◇ピーク時市場規模予測が100億円以上(H1)◇同50億円以上100億円未満(H2)◇著しく単価が高いなど中医協総会で必要と判断した品目(H3)とする。原価計算方式の場合は、有用性系加算がなくても、製品原価の開示度が5割未満だと対象となる。
品目選定は、年4回の保険収載の機会を活用する。同時に多くの品目を選ぶのではなく、時期を分散させる。
指定難病や血友病、HIV 感染症など治療方法が十分に存在しない希少な疾患のみに用いる品目や、小児のみに用いる品目は除外する。また、抗がん剤も配慮の対象となる。
分析は企業が事前に実施し、その後、厚労省の専門組織が公的分析を行う。様々な観点から考慮する総合的評価(アプレイザル)を経て、中医協に示し、中医協が価格調整を決定する。
価格調整はICERを用いる。生活の質(QOL)で調整した生存年(QALY)を1年延ばすのにかかる費用が、500万円以上だと費用対効果が低いとされ、価格引下げの対象となる。500万~750万円、750万~ 1,000万円、1,000万円以上の3段階がある。配慮が必要とした品目では、別の基準を用いる。
価格調整の対象は、価格全体ではなく、有用性系加算部分である。原価計算方式では、営業利益部分も対象になり得る。最終的な薬価(材料価格)は調整前の「10%または15%」を限度とした。患者に必要な医薬品などの安定供給を確保するためだ。
費用対効果がよければ価格引上げ
一方、「ドミナント」と呼ばれ、比較対照品目に対し効果が増加し、費用も削減される品目は価格を引き上げる。引上げ率は50%で、価格全体の10%を上回らない調整率とする。
さらに、ICER が200万円/QALY未満の場合も、引上げの対象とする。引上げ率は25%で、価格全体の5%を上回らない調整率とした。
この案に対しては、支払側の委員が、「財政に与える影響を考えると、費用対効果評価の趣旨に合わないのではないか」と疑問を呈したが、中医協として了承した。
全日病ニュース2019年2月1日号 HTML版
[1] 費用対効果評価の本格的な議論始まる|第924回/2018年9月1日号 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180901/news03.html
2018年9月1日 ... 中医協の費用対効果評価専門部会(荒井耕部会長)は8月22日、医薬品などの費用対
効果評価の仕組みについて本格的な議論 ... 総合的評価(アプレイザル)では、対象
品目の費用対効果を評価するのに、ICER(増分費用効果比)を用いる。[2] 中医協・費用対効果評価専門部会> 費用対効果評価は保険償還の判断
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170715/news02.html
2017年7月15日 ... 中医協の費用対効果評価専門部会(荒井耕部会長)は6月28日、来年度の制度導入に
向けて議論を進めた。医薬品や医療 ... 現在試行的に実施している仕組みでは、医薬品
7品目・医療機器5品目を選び、費用対効果の分析を行っている。[3] 医薬品及び医療機器の費用対効果評価に関する取扱いについて
https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180209_5.pdf
2018年2月7日 ... 医薬品及び医療機器の費用対効果評価に関する取扱いについて. 1 既収載品に係る
費用対効果評価の手続き. (1) 対象品目の指定. 中央社会保険医療協議会の定める
以下の選定基準に基づき、費用対効果評価専門部会におい. て指定・ ...
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