全日病ニュース

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コロナ禍における医療

コロナ禍における医療

【招聘講演4】厚生労働省医務技監 福島靖正

 現在、新型コロナ対策に政府をあげて取り組んでいる。感染防止対策と予防接種を進めるとともに、必要な医療を提供するために医療機関への支援を行ってきた。本日は、コロナ禍における医療というテーマで、治療薬や医療費の動きなどについてお話しする。
 現在、第5波の流行の真っ最中で、世界的にみても日本の新規感染者数は決して低いほうではない。他方、死亡者数は依然として低い水準である。
 高齢者へのワクチン接種が進み、70代以上の重症者数は減少傾向にあるが、40~ 50代の重症者数は増加傾向にある。治療薬で現在、薬事承認されているのは、ベクルリー(レムデシビル)やデカドロン(デキサメタゾン)、オルミエント(バリシチニブ)、ロナプリーブ(カシリビマブ・イムデビマブ)。
 ロナプリーブは供給量が限られるので、厚労省が購入して医療機関に配分しているが、どのように必要な患者に提供するかが課題となっている。その他、ヘパリンもコロナ治療に用いられている。
 診療報酬でも、コロナに対応するために、さまざまな特例的な取扱いを示してきた。検査についても、PCR検査や抗原検査キットを保険適用している。抗原検査キットは、患者が有症状の場合には迅速に結果が出るものなので、今後も活用してもらいたい。
 新型コロナによる医療機関のレセプト件数を、コロナ以前の一昨年と比較すると、2021年4月で、入院はコロナ以前の一昨年同月と同程度だが、外来は▲5ポイントと減ったままである。
 医科診療所の診療科別のレセプト件数では、耳鼻科が▲22.1ポイント、小児科が▲13.4ポイント、外科が▲15.9ポイントと低くなっている。
 このように、レセプトの「件数」は一昨年より減少している。しかし、レセプトの「点数」をみると、一昨年と同等に戻っており、一昨年より上回る部分もある。2021年の医科の総点数は一昨年同月より2.4ポイント増で、入院が1.3ポイント増、外来は3.7ポイント増である。
 病院の点数は0.7ポイント増で、診療所は3.3ポイント増。医科診療所の診療科別にレセプト点数をみると、外科(▲9.5ポイント)と耳鼻科(▲13.3ポイント)は減少したままだが、それ以外の診療科は一昨年より改善している。
 2021年の骨太方針には、感染症を踏まえた診療報酬上の特例措置の効果を検証するとともに、減収への対応を含めた経営上の支援や病床確保・設備整備等のための支援について、診療報酬や補助金・交付金による今後の対応のあり方を検討し、引き続き実施すると書かれている。これを受けて、中医協では、コロナ・感染症対策を主要テーマのひとつとして議論している。

 

全日病ニュース2021年10月1日号 HTML版

 

 

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