全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2021年)第995回/2021年10月1日号2020年度診療報酬改定の経過措置の特例をさらに延長

2020年度診療報酬改定の経過措置の特例をさらに延長

2020年度診療報酬改定の経過措置の特例をさらに延長

【中医協総会】新型コロナの病院への影響を調査

 中医協総会(小塩隆士会長)は9月15日に開催され、9月30日まで経過措置期間を延長していた2020年度診療報酬改定における「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の引上げなどの項目について、新型コロナの影響が想定される病院などに限っては、今年度末まで再延長するとの厚生労働省の提案を了承した。対象は、①新型コロナ患者受入重点医療機関②協力医療機関③それ以外でコロナ患者受入病床を割り当てられた医療機関とした。
 延長していた経過措置には、「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の引上げや回復期リハビリテーション料における実績指数の水準引上げ、地域包括ケア病棟入院料等における診療実績の水準引上げなどがある。新型コロナの影響で、入院患者の構成が変化すれば、病院が想定していた実績を満たせなくなる可能性があるため、経過措置を延長していた。
 2020年度改定の予定では、2020年度の実施から半年後の2020年9月30日を経過措置の期限としていた。ところが、新型コロナの感染拡大が生じ、経過措置を2021年3月31日まで再延長、更に感染の影響で、2021年9月30日まで再々延長とすることになった。
 その際厚労省は、病院などの実情を把握する観点で、実績の記録を求めた。今回の取扱いは、実績データの提出を分析した実態調査を踏まえたものだ。
 実態調査により、経過措置の特例がなければ、施設基準を満たせなかった病院は一部にとどまるものの、コロナ患者受入病床を割り当てられた病院は、その他の医療機関と比べ、診療への影響を受けていることが確認できた。このため、新型コロナの影響のある病院などに限って、2022年3月31日までさらに延長するとした。
 実態調査では、2021年4月末と2021年6月末時点の報告状況をまとめている。全国で8,300病院のうち、いずれかの時点または両方で、本来の基準では「施設基準を満たせない」との報告があった施設は161病院で、全体の1.9%であった。
 重点医療機関で37病院、協力医療機関で31病院、コロナ患者受入病床を割り当てられた施設で17病院、これら3つには該当しないが新型コロナにより何らかの影響を受けた施設が35病院、それ以外の施設が41病院だった。
 なお、新型コロナの重点医療機関は病院全体の16%、協力医療機関は11%となっている。
 また、機能強化型訪問看護管理療養費の施設基準が満たせなかった機能強化型の訪問看護ステーションは、全国702施設のうち、2.3%であった。
 施設基準等における年間実績については、前年の診療実績を用いて施設基準を満たすかを判断している。新型コロナの感染拡大を踏まえた特例では、2021年9月30日まで2019年の実績で判定することを認めた。
 実態調査によると、全体として、2019年の実績で判断せざるを得なかった病院は少なかったことから、現状の特例での取扱いのとおり、新型コロナ患者受入重点医療機関などに対しては今年度末まで認め、それ以外の病院などは9月30日で終了とすることを決めた。
 なお、年間実績が必要な診療報酬には、◇地域医療体制確保加算の救急搬送受入件数◇処置・手術等の時間外加算における手術等の件数◇個別の処置、手術等(腹腔鏡下胃切除術、経皮的僧帽弁クリップ術など)などがある。
 日本医師会常任理事の城守国斗委員は、厚労省の提案に賛意を示した上で、「今も医療界全体がコロナ対応に奔走している。そのような中で、施設基準の届出や年間実績の計算は煩雑な作業で、不明点も出てくる」と述べ、きめ細かな対応を厚労省に求めた。今回の実態調査が2021年4月末、6月末の時点であり、第5波の感染拡大の影響を含んでいないため、引続きの対応の重要性を強調した。
 日本病院会副会長の島弘志委員は、「特例の対象となった病院は、私の予想より少なかった」と感想を述べる一方で、実態調査では拾い切れていない影響が、地域医療の現場で生じている可能性を指摘し、同じく厚労省へ丁寧な対応を求めた。

 

全日病ニュース2021年10月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。