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病室Wi-Fiは入院患者のライフライン

病室Wi-Fiは入院患者のライフライン

 特別講演3に登壇したフリーアナウンサーの笠井信輔氏は、病室Wi-Fiの導入を聴講者に訴えた。2020年にステージ4の悪性リンパ腫に罹患し、4か月半入院した経験から、「新型コロナで誰も見舞いに来られない状況はとてもきつかった。家族や友人、会社とつながることができるインターネットに救われた。病室Wi-Fiはライフライン」と語った。
 電波環境協議会の2022年6月現在の調査結果によると、約9割の病院が、業務用としてWi-Fiを導入。ただ病室でWi-Fiが使える病院は3割にとどまる。
 病室Wi-Fiの導入が進まない理由の1つに安全面に対する懸念がある。基本的に電子カルテは、閉鎖的なイントラネットで運用されている。開かれたネットワークであるインターネットとつながると、サイバー攻撃を受けるリスクが高くなるためだ。一方、病室Wi-Fiはインターネットに接続することになる。
 笠井氏は、Wi-Fiの電波には5GHz帯と2.4GHz帯の2種類があるため業務用と病室用で分けて使うことができることを説明。また、電波を分離できる中継器を設置すれば、電波が干渉したり、混線は起きないとした。
 医療機器への影響については、病室Wi-Fi整備に関するセミナーで、厚生労働省の担当者が「医療機器は、国の基準で電磁波の影響を防ぐ能力を確保することになっており、安心して利用できる」と明言したことを紹介した。
 最後に笠井氏は、2021年にサイバー攻撃を受けた徳島県の公立病院のケースに言及。同病院はイントラネットで電子カルテを使っていたが、古いシステムでセキュリティ対策ソフトが動作に影響するため、セキュリティを停止していた。イントラネットなので問題視されなかったが、遠隔でメンテナンス作業をするため、ベンダーだけがシステムに接続できるようVPN装置を設置していた。VPNはプライベートなネットワークだが、その装置の不具合が放置されていたことも一因となった。笠井氏は、Wi-Fiが原因ではないことを強調した。


笠井信輔氏

 

全日病ニュース2022年11月1日号 HTML版

 

 

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