全日病ニュース
救急医療の医療関係職種のあり方検討会が初会合
救急医療の医療関係職種のあり方検討会が初会合
【厚労省】「救急外来」における救急救命士の配置などを議論
厚生労働省の「救急医療の現場における医療関係職種のあり方に関する検討会」の初会合が10月13日に開かれた。2021年10月に改正救急救命士法が施行され、救急救命士が「病院前」だけでなく「救急外来」でも救急救命処置を実施することが可能になったことに伴い、「救急外来」における多職種の連携など病院前から医療機関内に至る救急医療を一体的に議論する。
座長には、遠藤久夫・学習院大学教授が就任した。四病院団体協議会を代表し、加納繁照・日本医療法人協会会長が参加する。
救急医療を取り巻く現状をみると、高齢化により救急搬送が増加し、救急医療に携わる医療従事者への負担が増加している。医師の働き方改革が直前に迫る中で、救急科の医師の14%が年1,860時間を超える時間外労働を行っている。救急医療を担う医師から、他職種へのタスクシフト/シェアを進める重要性は高いと言える。
そのような状況で、改正救急救命士法により、救急救命士が「救急外来」で救急救命処置を実施できることになった。また、救急救命士が実施できる救急救命処置の範囲の拡大も検討されており、2022年度中に結論を得ることになっている。
一方、救急現場における医師の業務の移管先としては、まずは行える業務の幅が広い看護師があげられる。しかし、現状で看護師の「救急外来」における業務実態は明らかになっていない。また、医療法において、看護師の外来における看護配置の基準はあるが、「救急外来」に特化した基準はない。
これらを踏まえ、今後、①救急外来における多職種の配置、連携等②改正救急救命士法の効果の検証③救急救命処置の追加・除外・見直し─を論点とし、議論を進めていく。今年度中をめどに結論をまとめる考えだ。
同日は、2021年度の厚生労働科学特別研究「救急外来における医師・看護師等の勤務実態把握のための調査研究」(研究代表者=任和子・京都大学大学院教授)の結果と、改正救急救命士法の効果を検証するために実施を予定するアンケート調査(研究代表者=横田裕行・日本体育大学大学院教授)の検討状況が報告された。
任教授は、調査研究の結果、「専門性の高い看護師の配置により、医師から看護師への業務分担が推進できる可能性が示唆された」、「看護職員が救急患者受入れのための直接業務に携わることができると、応需率が高まる可能性が示唆された」と報告した。
これらを踏まえ、「専門性の高い看護師等の配置により、医師から看護師への業務分担が推進できる可能性」があると主張した。
昨年10月の改正救急救命士法の効果を検証するためのアンケート調査は、2023年1月に実施し、3月に結果をまとめる予定。全国の救急救急センター(全国300施設)のセンター長、看護師長に「救急救命士の雇用状況」や「法改正についての認識」などをきく。救急救命士を雇用している場合には、それによる医師・看護師の負担軽減や救急車の受入れ実績、院内体制の整備状況なども把握する。
これに対し、日本医療法人協会の加納繁照委員は、「二次救急を担っている医療機関も救急救命士を雇用する施設が出てきているので、その状況も把握するべき」と求めた。
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