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ホーム全日病ニュース(2022年)第1020回/2022年11月1日号国民に信頼され医師の期待に応える医師会

国民に信頼され医師の期待に応える医師会

国民に信頼され医師の期待に応える医師会

【静岡学会・特別講演1】松本吉郎 日本医師会会長

 日医会長への就任時に、「地域から中央へ」、「一致団結する強い医師会へ」、「医師の期待に応える医師会へ」、「国民の信頼を得られる医師会へ」の4つを掲げた。診療所・病院を問わず現場の意見をきき、それを「地域から中央」に届けるためには、「一致団結する強い医師会」であることが重要だ。医師会だけでなく、医療界全体としてとらえてほしい。そして、しっかりとした実行力で行動し、国民の信頼と期待に応える。医師会の役割とは、国民の健康と生命を守ることであり、地域医療を支えることである。
 地域医療にはさまざまな役割がある。私は、勤務医から開業医になる医師に、地域に根差す医師会の役割を伝え、地域の医師は、自分の医療機関だけを守ればよいということではいけないということを繰り返し話している。
 地域医療を具体的に言うと、「地域の時間外・救急対応」、「行政・医師会等の公益活動」、「地域保健・公衆衛生活動」、「多職種連携」などがある。
 「地域の時間外・救急対応」は、単独の医療機関で体制を確保する場合と、他の医療機関との連携で確保する場合がある。公益活動には、警察業務への協力や防災会議、地域ケア会議への出席、介護保険認定審査会などがある。地域保健・公衆衛生活動は母子保健、学校保健、産業保健、予防接種などさまざまである。「多職種連携」は最近、特に重要な活動になってきた。在宅医療ネットワークやケアカンファレンス、ACPなど自院にいるだけでは対応できないものになっている。
 これらのすべてを一人の医師で行うことはできないが、みなで取り組めば、地域を面として支えることができる。
 現場の意見を中央に届け、政策に反映させるためには、厚生労働省をはじめ政府の省庁との連携も重要だ。カウンターパートナーとして、意見を交え協力し、連携していきたい。
 国会議員に対しては、特に自民党の有力議員に複数回面会し、医療現場の実態を説明し理解を求めている。羽生田俊先生は厚労副大臣の労働担当として医師の働き方改革に、自見はなこ先生は内閣府大臣政務官として、こども家庭庁の創設などに邁進している。星北斗先生・桜井充先生・藤井一博先生も参議院議員に当選され、力強く感じる。
 病院団体と地域医師会の連携も非常に重要だ。税制改正要望項目に関しては、控除対象外消費税という難しい問題がある。確かに、高額な設備等に投資する病院にとっての負担は大きく、切実な課題だと思う。
 軽減税率という案があるが簡単ではない。一つの方向性だと思うが、検討を続ける。
 組織率強化については、医師たる者には、医師会活動に参画して、地域医療を担ってほしいという気持ちでお願いしている。臨床研修に専心している方々には、医学部卒後5年間の会費減免期間を設けるなどの対応を講じている。
 かかりつけ医機能については、日医・四病院団体協議会の提言(2013年8月)が基本である。骨太の方針2022に明記された「かかりつけ医機能の制度整備」について、かかりつけ医機能を強化することは重要だが、いきなり「登録制」にするとか外来を「包括払い」にすることには、日医として反対する。
 かかりつけ医はあくまで患者が選ぶもので、必要なときに適切な医療にアクセスできる現行制度を維持するべきである。


松本吉郎 日本医師会会長

 

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