全日病ニュース

続報・全日本病院学会 in 広島
2024年度同時改定を睨んで

【医療保険・診療報酬委員会企画】

　医療保険・診療報酬委員会企画として、「2024年度同時改定を睨んで」をテーマとし、３名の演者よりご講演頂き、座長（医療保険・診療報酬委員会 津留委員長）も交え総合討論を行った。
　（１）新中医協委員、当委員会副委員長、日本医療法人協会副会長、社会医療法人名古屋記念財団理事長の太田圭洋先生より、基本的な診療報酬改定のしくみについて概説があった後、主に急性期入院医療について講演があった。令和４年度調査で、急性期一般入院料１（７対１）が微増したことから、『要介護高齢者の救急入院を急性期ではなく回復期で対応すべき』と言う、「医療と介護の意見交換会」以降の厚労省の主張に基づき、特に医療資源投入量が少ない「誤嚥性肺炎」、「尿路感染症」のケースが、重症度、医療・看護必要度のA項目、B項目をどのように条件を満たしていたのか、その分析データが様々に示された事から、必要度に対しての厳しい見直しが予想されることなどを含めて説明がなされた。
　次に（２）中医協委員、日本慢性期医療協会副会長、福井県医師会長、医療法人池慶会池端病院理事長・院長の池端幸彦先生より、主に回復期、慢性期についてお話があった。急性期一般入院料の約６割の患者が75歳以上であることから、高齢者救急を地域包括ケア（地ケア）病棟にて直入で診る場合の課題について、地ケアで受入れるには診療報酬上でしっかりと評価すべきことが強調された。療養病床については、疾患・状態としての医療区分３分類と、処置等としての医療区分３分類に分け、そのデータの掛け合わせで９パターンの新たな評価もあり得ること、その他診療報酬上で「リハビリ」、「栄養管理」が重要視されていることについても解説があった。
　次に（３）社会保障審議会介護給付費分科会委員、日本慢性期医療協会常任理事、全国老人保健施設協会副会長、医療法人大誠会内田病院理事長・院長の田中志子先生より介護保険についてご講演があった。今年春に行われた「医療と介護の意見交換会」での８項目の協議内容や、これまでの介護給付費分科会からの検討内容を中心に、特に「医療」と「介護」との連携のあり方について、「認知症」、「身体拘束」、「人生の最終段階における医療・介護」、「リハビリ」、「口腔ケア」、「栄養」、「看取り」、「ACP」、「処遇改善」等の問題について、次期介護改定でどのような見直しが考えられるかについて論じられた。
　最後に（４）前中医協委員、全日本病院協会会長、日本医師会副会長、医療法人寿康会寿康会病院理事長・院長の猪口雄二先生による司会で、座長（津留委員長）も交え総合討論を行った。主には①「７対１をいかに減らすか」に対して、高齢者救急に対応する医療現場からの意見について、②重症度、医療・看護必要度の必要度ⅠとⅡについて、平均在院日数の見直し等について、③今後療養病棟が地域で生き残るには、どのような役割・評価が求められるのか、④「医療」と「介護」の連携に関して、現状あるいはコロナ禍でどのように問題は整理されて来たのか、⑤「看護」と「介護」の問題、医療における看護補助者、介護福祉士の問題等について討論を行った。同時改定の論点である、高齢者救急については、医療資源として医療人材確保の重要性と、（看護・介護）人材資源のマンパワー（仕事量）をどう評価するのか、また高齢者救急という一括りで扱うのではなく、その高齢者の状態・状況・経過に応じて、各々のケースに相応しい医療・介護提供体制の中で適切に対応することが求められていることを確認した。