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CBRNEテロに対する医療機関の備え

続報・全日本病院学会 in 広島
CBRNEテロに対する医療機関の備え

【救急・防災委員会企画】

 今回のテーマであるCBRNE(シーバーン)とは、化学(Chemical)・生物(Biological)・放射性物質(Radiological)・核(Nuclear)・爆発物(Explosive)の頭文字を組み合わせた言葉である。
 災害王国と揶揄されることもある本邦では、地震災害や気象災害を幾度となく経験して備えを充実させてきたが、テロへの備えはどうだろうか? 一見テロとは無縁とも思える平和な本邦であるが過去を振り返ると、“Eテロ”の三菱重工爆破事件、“Bテロ”の炭疽菌散布、“Cテロ”のサリン剤散布など数多くのテロを経験している。またテロではないが先の大戦における長崎・広島への原爆投下により“N”を、東日本大震災に起因した福島第一原子力発電所のメルトスルーにより“R”を経験しており、CBRNE全ての事例を経験している稀有な国に我々は生活している。
 世界に目を向けると、社会情勢は一層不安定となり、大国により戦争が引き起こされ、武力行使や紛争が絶えず、テロも頻発している。いつ我が国が戦火やテロに巻き込まれてもおかしくない状況にある。
 CBRNEテロの脅威が年々増加するなか、ボストンマラソン爆弾テロ事件に代表されるように、同時多発的に多数の外科的緊急処置を必要とする傷病者が発生する“E テロ”の発生が最も懸念されている。さらに“Eテロ”に“Rテロ”の脅威が加わった『ダーティーボム』、さらに化学剤が使用され『安価な核兵器』とも称される“Cテロ”の発生も現実味を帯びている。日・米・韓に批判的な某国からの核ミサイル攻撃も夢物語ではなくなり、“N”の脅威に対しても備えるべき状況にある。
 大桃丈知座長によるプレゼンテーションの後、種々の脅威に対して活躍する防衛省陸上自衛隊 中央特殊武器防護隊長にご登壇いただいた。最前線での対応についてご紹介いただき、テロに対する最新の知識を習得した。
 ひとたびCBRNEテロが起こった場合、近隣の医療機関はもとより、地域の医療機関すべてが対応を迫られることは明らかであり、“Eテロ”の外傷サージへの備え、“Rテロ”や“N”攻撃での放射線検知や“Cテロ”での除染への備えについてアップデートする場となった。

 

全日病ニュース2023年12月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] Untitled

    https://www.ajha.or.jp/seminar/other/pdf/070310.pdf

    2007/03/10 ... N【Nuclear (核) 】 災害. (財)原子力安全研究協会 放射線災害医療研究所. 副所長 衣笠 達也. B 【Biological (生物)】災害 ... C 【Chemical (化学) 】災害.

  • [2] NEWS 9/1 - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2011/110901.pdf

    CBRN(Chemical Biological Radioactive Nuclear)等の特殊災害への. 対応の推進. 医療従事者雇用維持のための補助などを要望. 3県への派遣システムが稼動。構成団体が ...

  • [3] Untitled

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2007/070215.pdf

    Nuclear災害. 東京工業大学大学院総合理工学研究科教授 衣笠善博. Biological 災害. 国立感染研究所感染症情報センターセンター長 岡部信彦. Chemical災害 富山大学大学院 ...

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