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ホーム全日病ニュース(2023年)第1045回/2023年12月1日号292区域が地域医療構想の対応方針策定を終える見込み

292区域が地域医療構想の対応方針策定を終える見込み

292区域が地域医療構想の対応方針策定を終える見込み

【地域医療構想等WG】病床数の必要量と病床機能報告上の病床数との乖離も縮小

 厚生労働省の地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ(尾形裕也座長)は11月9日、地域医療構想の進捗状況を確認した。2023年9月時点の地域医療構想調整会議における検討状況等調査の結果が報告され、全国341の地域医療構想調整会議のうち、292区域(85%)が2023年度末までに対応方針の策定を終える見込みであることがわかった(構想区域は339だが調整会議は341ある)。
 厚労省は本年3月に各都道府県に対し、2023年度中に各構想区域で地域医療構想の推進について、年度目標を設定するよう求めている。同調査はその進捗状況を確認するため、各都道府県に実施したもの。
 調査の結果、2023年9月末時点で、240区域が目標を設定済みであり、そのうち183区域が対応方針の策定率、32区域が病床数の必要量など別の目標、23区域が対応方針の実施率を目標としていた。292区域が、2023年度末までに対応方針の策定を終える見込みだが、対応方針の策定率を100%にできない区域は49区域ある。主な理由として、「すべての有床診療所の対応方針の策定の見通しが立てられないため」、「地域医療構想調整会議で合意が得られないため」があげられた。
 再検証対象医療機関の検討状況については、2023年3月時点の調査結果と比較すると、措置済を含む「検証済」の医療機関単位の割合が68%、病床単位の割合が74%となり、2023年3月時点と比べ、進捗が認められた。
 一方、2022年度の病床機能報告については、病床機能報告上の病床数と2025年の病床数の必要量との差である病床機能計の乖離率は+0.7% で、2015年の+5.0%から縮小した。乖離の変化を構想区域別にみると、病床機能計、急性期、回復期において、全体として乖離は縮小傾向にある。
 また、重点支援区域は13道県20区域のうち4区域が再編済みである一方、依然として病床の必要量との大きい乖離が残っている区域があるため、構想区域ごとに確認・分析を進めていく必要があるとした。
 今後の方針について、厚労省は、まずは2025年までの取組みをより一層推進するため、年内を目途に各都道府県に対して調査を実施。調査結果を踏まえ必要な助言などを行うとともに、さらなる取組みを促すとした。その上で、新型コロナ対応を通じて顕在化した課題を含め、中長期の課題を整理し、2026年度以降の地域医療構想の策定に向けた検討を進めていくとした。

調整会議のあり方が検討課題
 委員からは、地域医療構想の一定の進捗がみられるとの評価が多くあがった。2026年以降の新たな地域医療構想に向けてビジョンを検討しなければならないが、その際は、現在の地域医療構想を十分に踏まえるとの考えで一致した。今後の検討にあたっては、調査結果のさらなる分析や、調整会議のあり方の検討が課題として指摘された。
 日本医師会副会長として出席した全日病会長の猪口雄二構成員は、「全体として対応方針の策定率が上がってきており、地域医療構想自体が進捗していると考える。乖離率も全般的に少なくなっている。それなりの効果が全国的にも出てきている」とこれまでの取組状況を評価した。
 その一方で、各地域での調整会議の現状について、「医師確保計画、外来計画、紹介受診重点医療機関など、調整会議のやるべきことがかなり多岐にわたる。当初は病床機能に関する会議であり、病院関係者が多く集まっていたが、その範疇を超えている。早いうちに作り直しが必要」と指摘した。
 全日病副会長の織田正道構成員も、2026年以降の地域医療構想では、2040年を見据え、在宅医療や医療・介護の連携がより重要になることから、公立・公的医療機関関係者の出席が多くなりがちな調整会議の構成員を見直すことを主張した。
 また、地方の構想区域において、病床数の必要量より実際の病床数が多くなり、大都市では逆になる傾向があることについて、「(生産年齢人口や患者の減少など)地方と大都市では医療を支える状況が大きく異なるため、341構想区域を同じ考え方で進めるのではなく、各構想区域の特性を踏まえる必要がある」と強調した。

 

全日病ニュース2023年12月1日号 HTML版

 

 

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