全日病ニュース

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病院機能評価3rdG:Ver.3.0

続報・全日本病院学会 in 広島
病院機能評価3rdG:Ver.3.0

【病院機能評価委員会企画】事務管理の力量を問う

 今年度の委員会企画は、広島コンベンションホール内の比較的大きな第5会場(200人席)にて、聴講者97名の参加を得て、開場とともに参加者の熱気に包まれた。今次改定の病院機能評価第三世代版Ver.3.0に対する理解欲求の強さの発露と思われ、開催者の一人として身の引き締まる思いで開会を宣した。
 今回の委員会企画の内容は、本年6月から病院機能評価の項目改定が行われ、Ver.3.0が実施・運用されたことから、改定内容の解説を主題とした。その中身は、とりわけ事務管理領域でドラスチックな改定が行われたので、その改定内容につき当委員会に所属した事務管理領域の現役サーベイヤーが解説を行った。加えて、このセッションの後段では、病院の活動の中で、病院組織を上げて質的な活動の向上に向けた実際の取り組み事例を発表するなど、合計5題の演題を発表していただいた。
 まず第1演題は、『事務の活躍に期待したい3rdG:Ver.3.0の改定概要』として朝見浩一委員に講演をお願いした。講演の内容は、序論としてこれまでの病院機能評価改定の経過を紐解きながら、今次改定の重点課題の解説により本論を展開した。重点課題としては、医療を取り巻く法制度改正への対応、事務管理領域の評価方法・手法の見直し、そして一般病院3で導入された評価方法の各審査区分への新たな導入・展開が行われていることなどが解説された。今次改定により、受審病院の評価がより深い理解によって可能になることを丁寧に説明した。
 第2演題は、『事務の視点で留意すべき改定内容の傾向と対策』と題して、中山和則委員から解説が行われた。氏は、9月に行われた病院機能評価セミナー時に寄せられた参加病院からの質問などに材を取り、1.1.5、4.1.4、4.1.5、4.3.3、4.3.4など5項目を例示して、受審病院の改定内容への対応の考え方や対処法につき解説を行った。また、講師が経験した公立病院の病院機能評価への取り組み姿勢につき、病院全体で取り組んで改善に効果を上げた事例も紹介された。
 第3演題は、『事務の実力で乗り切るテーマ別調査「ブロック別面接」について』を、佐合茂樹委員が講演された。Ver.3.0の項目改定の概念は第1演題で解説が行われた通りであるが、今後全受審病院の審査に適用される『カルテレビュー』につき解説されたうえで、今次改定の目玉の一つである『事務領域におけるブロック別面接』につき詳細に解説が行われた。4つの各ブロックにおける審査時のサーベイヤーと病院回答者のやり取り(ディスカッション)も例示された。以上3題の解説講演により参加者の皆さんは、Ver.3.0の改定内容につき相応の理解が得られたものと思われる。
 次に、事務的管理業務に関わる研究成果として、実務対応をされた2題の報告をいただいた。以後は指定演題として、第4演題『DPC 入院期間Ⅲの患者減少に向けた取組 第1報 ~多職種連携によるベッドコントールの強化~』、演者は公益財団法人脳血管研究所 美原記念病院 看護部師長の見田野直子先生にお願いした。続く第5演題は、同病院の事務部長代行 風晴俊之先生にお願いし、演題は『第2報 ~事務管理の視点から課題抽出と効果検証~』であり、DPC病院における入院期間Ⅲの対象患者がベッドコントロールの手をこまねいていると短い時間経過の中で、経営効率に影響を与えるほど増加をきたしてしまう。このためには、予見的に入院期間を把握して、多職種連携を効果的に行い、後方病床の効率的運用を図ることにより、入院期間Ⅲの患者を急性期病床から効果的なシフトを行うべきと述べた。
 以上の5演題をすべて完了後、全演者が会場正面に着席して質問に備えた。しかし、残念であったがフロアーからの質問は聴かれなかった。一方、演者に対しては、テーマの割に持ち時間が短かったことから、言い足りなかった事柄や補足を各講師に一言ずつ求めた。病院に対して倦まず弛まず、全病院の力で質改善に取り組む姿勢が重要であることが求められた。また、事例報告をされた風晴先生には、病院にとって歓迎されざる事象が発生しているときに、管理者として行動を起こすに至る道筋をお尋ねした。曰く、患者のため、職員のためひいては病院のためになることを想定して、行動を起こすべきとの信念を述べられた。

 

全日病ニュース2023年12月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] NEWS 10/1 - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2013/131001.pdf

    2013/10/01 ... ージョンの評価体系を、サーベイヤー. による訪問審査の実演によって説明す. る意欲的な企画だ。 2025年問題から地域包括ケア、医療. 機能分化、地域一般 ...

  • [2] はじめに

    https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/arikata/2007_arikata.pdf

    米国のDRGがその代表だが、わが国のDPCもその1つである。診断群分類を支払 ... 日本医療機能評価機構のサーベイヤーの中か. ら、当事業アドバイザーを依頼して ...

  • [3] Untitled

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2007/070415.pdf

    -DPCを導入する会員病院もかなり増え. てきていますが。 全日病は早くから急性期入院 ... サーベイヤーを募集. 2007年度の評価調査者の募集を開. 始しました。 応募資格は ...

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