全日病ニュース

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医師の労働の実態把握で調査を実施

医師の労働の実態把握で調査を実施

【特別講演】厚生労働省 鈴木康裕医務技監

 厚生労働省の鈴木康裕医務技監は、「平成30年医療・介護同時改定toward&beyond」と題して講演した。
 鈴木氏はまず、来年の同時改定の見通しについて、財源をいかに確保するか、子育て支援を見込むか否か、の2点がポイントになると述べた。その上で、医療・介護政策は変化が避けられない状況を強調。今後、生産年齢人口が急激に減り、働く人や保険料を払う人が少なくなることや、出生数が100万を切っている状況などをあげ、「これからは、今までの高齢社会と質が違うものになる」と警鐘を鳴らした。
 社会保障の自然増を毎年度5,000億円に抑える政府方針の中で、2017年度予算では6,400億円から1,400億円を減らした。自然増抑制の取組みは続いており、2018年度も、6,300億円を1,300億円減額しなければならない見通しを示した。
 限られた財源の中で、医療・介護報酬をどう配分するかについて、鈴木氏は具体的数字を示さなかったものの、自らが医療課長時代に行った2012年度診療報酬改定に言及。2012年度改定では、「首の皮一枚改定」といわれ、わずかに0.004%だったが、ネットプラスを確保している。
 一方、昨今の院外処方の増加を踏まえれば、薬価改定の財源をすべて医療機関に戻すことが必然ではないとの認識を示した。前回改定ではネット改定率を示さなかったが、医療機関の経営状況と相関する改定率の表現方法の必要性を示唆した。
 また、7対1入院基本料と10対1入院基本料が病院内に混在する病棟群単位の算定を前回改定で認めたことについて、「要件が厳しく、ほとんど使われていないときいている」と述べ、再検討の必要性に言及した。
 鈴木氏は最後に、医師の「働き方改革」が今後の重要課題と強調。医師が労働者である規定自体を変えることは難しいとしつつ、「あまり厳格にしすぎると、地域の救急医療や入院が維持できなくなる可能性がある。医師の需給や病院の経営にも影響が大きい」と指摘した。今後、医師について、応召義務をふまえながら、労働と自己研鑽を見分けるための調査を病院団体等と協力して実施する予定であることを明らかにした。

 

全日病ニュース2017年10月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年9月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170915.pdf

    2017年9月15日 ... したが、委員から慎重な意見が出たた. め、変更しないことを決めた。厚生労. 働省は、
    Ⅰ群病院は平均在院日数短縮. (効率性 .... 会は9月7日、厚生. 労働省鈴木康裕
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