全日病ニュース

全日病ニュース

維持期リハビリの介護保険への移行策を検討

維持期リハビリの介護保険への移行策を検討

【中医協総会】第2ラウンドの個別テーマの議論始まる

 中医協総会( 田辺国昭会長)は、2018年度診療報酬改定に向け第2ラウンドの議論を9月13日に開始。最初のテーマを維持期・生活期のリハビリテーションを円滑に介護保険に移行させる方策とした。2018年4月以降、標準的算定リハビリ日数を超えた要介護被保険者は、医療保険での算定が原則できなくなる。この期限をさらに延長することの是非や介護保険への移行策が課題となった。
 疾患別リハビリの維持期・生活期のリハビリは、医療保険ではなく介護保険で実施すべきとの観点から、これまで数次の改定で介護保険に円滑に移行させる措置を検討してきた。医療保険で算定できるのは当初2014年度の医療・介護同時改定までとされたが、医療保険での維持期リハビリに一定のニーズがあることを踏まえて延期され、現在は原則2018年3月末となっている。
 前回改定では、さらなる移行措置を図るとともに、維持期のリハビリテーション料において厳しい対応をとった。
 具体的には、要介護被保険者に対する維持期リハビリテーション料の減算率を1割から4割に上げた。さらに、維持期リハビリを提供する医療機関に介護保険のリハビリの実績がない場合の追加減算率が1割から2割になった。
 例えば、脳血管リハビリテーション料(Ⅰ)の場合、発症等後180日は医療保険でリハビリを1単位20分で245点を算定できる。180日を超えると、要介護被保険者以外は引き続き、月13単位を限度に245点を算定できるが、要介護被保険者であれば、4割減の147点になる。厚労省は、脳血管疾患等リハビリ料等や運動器リハビリ料等を算定した患者で、標準的算定日数を超過した要介護被保険者の割合は2~3%とのデータを示した。
 全日病会長の猪口雄二委員は、「4割減算の147点よりも、(介護保険のリハビリの実績がなく)2割減算が加わり、所定点数の48%まで下げられている医療機関が多い」と述べ、減算の影響の厳しさを訴えた。
 同日の議論では、診療側の委員から、方向性は受け入れつつも、標準的算定日数を超過した要介護被保険者が医療保険のリハビリを受けられる期限を2018年3月末とする措置について、さらなる延長を求める意見が相次いだ。
 しかし支払側の委員は、「医療保険と介護保険のリハビリは役割が違う。円滑に移行させる措置を講じるべき。その際に、診療報酬での配慮は必要なく、事務負担の軽減や施設の利用の工夫などで対応できる」と主張した。
 一方、厚生労働省は、治療継続により状態の改善が期待できるなど、必要があれば、医療保険でのリハビリが可能であることを強調した上で、維持期・安定期のリハビリを介護保険に円滑に移行させる方策の論点を示した。
 現在、同一の施設で医療保険の外来リハビリと介護保険の通所リハビリの両方を実施している施設がある。しかし両者の施設基準は機能訓練室の広さや職員の配置などで異なる。標準的算定日数を超過した要介護被保険者が介護保険でリハビリを受けるようになると、同一施設で両者のリハビリを実施することになり、どちらか一方の場合よりも実質的に職員の加配になることがある。このような課題に配慮する必要性が指摘された。
 疾患別リハビリの実施に当たって作成するリハビリテーション実施計画書については、両者で重複する項目があるため、「写し」で代用できるようにするなど、事務負担軽減が論点となった。
 また、医療保険の「目標設定等支援・管理シート」と介護保険の「リハビリテーション計画書」などでも様式の互換性に乏しいとの指摘があり、様式の変更を検討する。
 一方、介護保険に移行する場合の居宅支援事業所への診療情報提供料(Ⅰ)にリハビリの情報が含まれていない問題がある。現在、特段の評価がない医療機関から通所リハビリ事業所・訪問リハビリ事業所への直接の情報提供の評価を新たに設けることも検討課題になった。猪口委員は、「様々な手段を尽くして、スムーズに医療保険から介護保険に流れる体制をきちんと作らないとうまくいかない」と述べるとともに、社会保障審議会・介護給付費分科会との緊密な連携も促した。

 

全日病ニュース2017年10月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 医療・介護の意見交換> 維持期リハビリの円滑な介護への移行などを議論

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170501/news09.html

    2017年5月1日 ... 送迎が介護への移行の障害 維持期リハビリは現在、医療と介護の役割分担の観点
    から、医療保険から介護保険への移行を進めている。具体的には、入院中の患者以外
    要介護被保険者に対する標準的算定日数(180日)を超えるリハビリ ...

  • [2] 医療保険と介護保険の給付調整の周知等について

    https://www.ajha.or.jp/admininfo/pdf/2013/130219_1.pdf

    2013年2月19日 ... しかしながら、要介護被保険者に対する医療給付については、「医療保険と介護保険
    給付調整に. 関する留意 .... 給付調整通知(別紙)により、要介護被保険者等である患者
    に対し、在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料(医療). の算定 ...

  • [3] 事 務 連 絡 平成 29 年3月 31 日 関 係 団 体 御中 厚生労働省保険局 ...

    https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2017/170403_1.pdf

    2017年3月31日 ... 管部(局)国民健康保険主管課(部)及び都道府県後期高齢者医療主管部(局)後期. 高齢
    者医療主管課(部)あて連絡しま .... 管疾患等リハビリテーション等を実施している要介護
    被保険者等である患者に対. し、必要な指導等を行った場合に、3月 ...

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。