全日病ニュース

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介護医療院と医師の働き方改革をテーマに討論

介護医療院と医師の働き方改革をテーマに討論

【常任理事会】介護医療院協議会(仮称)の設置を決める

 全日病は8月19日の常任理事会で、介護医療院と医師の働き方改革をテーマに討論し、介護医療院について議論する場として、「介護医療院協議会」(仮称)を設置することを決めた。
転換を進めるための環境整備が課題
 介護医療院をめぐっては、社会保障審議会・介護給付費分科会において、人員・設備の基準や報酬体系の議論が始まっているが、本格的な検討はこれからだ。常任理事会では、高齢者医療介護委員会の土屋繁之常任理事が厚生労働省との水面下の折衝内容について報告した。
 土屋常任理事は、「一番の問題は介護療養病床からの転換をいかにスムーズに進めるかであり、そのための環境整備である」と指摘。論点として、①施設機能、②サービスの提供と療養環境、③人員配置、④施設基準をあげた。
 介護医療院は、日常的な医学管理や看取りなどの医療機能と生活施設としての機能を兼ね備えた新たな介護保険施設で、ⅠとⅡの2類型がある。Ⅰは、重度者が対象(療養機能強化型A・B相当)で、施設基準は介護療養病床相当。Ⅱは、Ⅰよりも比較的容体が安定した者を対象とし、施設基準は老健施設相当以上とされる。報酬設定に当たっては、類型Ⅰと類型Ⅱの違いをどう設定するかがポイントの一つとなる。
 猪口会長は、「具体的な施設基準や報酬が決まるのは、来年3月になるだろう」と見通しを示すとともに、「相当大きな影響がある」として、会内に介護医療院の問題を検討する場として、「介護医療院協議会」(仮称)の設置を提案。高齢者医療介護委員会の木下毅委員長(常任理事)に協力を要請した。
 木下委員長は、快諾して人選を進める考えを示した。
 猪口会長は、協議会を通じて積極的に情報を発信していく考えを強調した。
医師の働き方では実態把握進める
 医師の働き方改革については、8月2日に「医師の働き方改革に関する検討会」の初会合が開かれ、検討が始まっている。
 3月28日に政府の働き方改革実行計画が決まり、長時間労働是正のために罰則付きの時間外労働の上限規制が導入されることとなった。医師は、時間外労働規制の対象とするが、応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要とされ、改正法の施行期日から5年後を目途に規制を適用することとなった。また、医療界の参加の下で検討の場を設け、新たな働き方の実現に目指して2年後を目途に規制の具体的なあり方、労働時間の短縮策について結論を得ることとされている。
 働き方改革は、医師の需給推計と密接にからむ。「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」の議論が再開するが、「今後の医師養成の在り方と地域医療に関する検討会」では、専門医の養成から卒前・卒後の教育課程まで含めた検討を進めている。「医師の働き方改革検討会」と合わせて3本柱で検討が進むこととなる。
 猪口会長は、医師の働き方改革の論点を、①応召義務や自己研鑽といった医師の働き方の特殊性をどう捉えるのかという問題と②救急医療等への影響の2つに整理した。
 ①は、自己研鑽のために勉強することが労働なのか、という問題。自分のために勉強していても、労基署の基準では病院にいる間はすべて労働という扱いになり、時間外労働になってしまうという問題である。
 ②は、より深刻な問題といえる。夜間に救急の対応をほとんどしない場合は、宿日直制が認められ、手当を支払っているが、労働の実態があると、時間外労働とみなされる。救急車を受けている場合はすべて時間外勤務の整理となり、割増賃金を支払わなければならない。現状の医師の数では、救急の現場が回らなくなると予想される。猪口会長は、救急現場の実態を把握する必要があるとし、実態調査を行う考えを示した。
 猪口会長の発言を受けて理事から、「医療崩壊になりかねず、本当に困る」とする声があった。
 猪口会長は、働き方改革の問題について、毎月の常任理事会、理事会で進捗状況を報告すると述べた。

 

全日病ニュース2017年10月1日号 HTML版

 

 

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  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年7月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170715.pdf

    2017年7月15日 ...常任理事。 ― 会長就任に当たっての抱負をお. 願いします。 いろいろあるのですが、
    一番考えて. いるのは約 2,500の会員に全日病のス. タンスを .... そもそも介護医療院
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