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ホーム全日病ニュース(2019年)第951回/2019年11月1日号今こそ示せ、『看護師の特定行為研修』修了者のプライド

今こそ示せ、『看護師の特定行為研修』修了者のプライド

今こそ示せ、『看護師の特定行為研修』修了者のプライド

【看護師特定行為研修委員会】看護師特定行為研修委員会委員長 神野正博

 これまでの本企画では制度を広めるために、理事長・院長、看護部長など管理者が登壇していたが、制度発足から5年が経過したことから、今回は研修を終え、現場で活躍している看護師が登壇するスタイルとした。本制度は医師の働き方改革、タスクシフティング、タスクシェアリングで注目されているが、その実態に切り込むディスカッションができたと思われる。
 冒頭、厚生労働省看護サービス推進室の習田由美子室長から、今年度のモデルチェンジ、特にパッケージ化の概要について説明があった。また特定行為研修修了者は1,685人(2019年3月時点)であることが示された。2018年度看護師の特定行為研修に係る実態調査・分析等事業の結果によると、特定行為研修による効果として、感染率低下、術後の早期回復、在院日数短縮、看護の質向上、患者満足度向上、多職種のハブとして機能、医療機関の増収等が示された。その他、特定行為研修制度自体が共通科目のe-leaningを院内研修として活用されている施設があることも紹介された。
 各演者より以下の報告があった。○星総合病院在宅事業部事務局長の戸崎亜紀子氏(区分:創傷管理関連)から、訪問看護での活動の現状の報告があった。・日中独居が多く、何かあっても通院できない患者が多い在宅医療においては、訪問看護師のアセスメント能力が問われる。その点で特定行為研修での学びを生かせる。・研修終了後は、特にケアマネから関連で介入依頼がくるようになった。・課題:地域の医療機関に特定行為の手順書が理解されておらず、連携しづらい。○織田病院外来主任の谷口繁樹氏(区分:術後瘻痛管理関連)は、研修終了後、外来業務、特に救急外来のトリアージ等を担当している。・研修の成果としては、臨床推論、フィジカルアセスメント能力がついたことが大きい。・研修前は、主訴、現病歴を聞き取り、身体診察し指示待ちだったが、研修後は痛みの症状を聞き取り、病態予測し自身で処置を考えられるようになった。医師との意思疎通もしやすくなり自身の考えに対して医師からもフィードバックをもらえ、スキルの向上にも繋がっている。○恵寿総合病院看護師長の山本美保氏(区分:呼吸器関連)はHCU師長から内科病棟師長に異動し、急性期では人工呼吸器の早期離脱、慢性期ではカニューレ交換等に携わる。・特定行為研修を受けたことにより、医師が来るまで待たなくてもよくなり、人工呼吸器から離脱のタイミングもはっきりするようになった。・専門外の医師や研修医に助言をすることが可能になった。・課題:同院にはすでに16人の研修修了者がいるが各勤務帯に必ずいる状況になく、特定行為を広く実施するには問題があることが示された。

○質疑・まとめ
 臨床推論、フィジカルアセスメント能力がつき、医師の思考過程を理解できるようになり、医師が欲しい情報を伝えられることが大きな効果であることを確認した。特定行為研修の共通科目については、看護師として2~3年経験した頃に受けると現場で起こっていることとリンクし、スキルアップに繋がるため、看護師の卒後研修として有用などの意見が示された。また、研修体制について、勤務時間内に受講するか、勤務時間外にするかについて、各病院の実情が報告された。
 さらに、今後のパッケージ研修についての各病院の考え方が示され、今後の拡大が期待された。

 

全日病ニュース2019年11月1日号 HTML版

 

 

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    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190801/news07.html

    2019年8月1日 ... 私自身の問題意識として、今進められている医療改革は中小民間病院にとって極めて
    厳しいものであり、これにしっかり向き合っていかなければならないという思いがある。
    大切なのは、 ... 第61回学会の演題登録はすでに終了し、一般演題として456題が登録
    された。 事前参加 ... 戸崎亜紀子(星総合病院) 谷口繁樹(織田病院)

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