全日病ニュース
民間病院の賃金引上げの改善遅れる
民間病院の賃金引上げの改善遅れる
【四病協会見】
四病院団体協議会は11月15日に会見を開き、民間病院の賃金改善が、その他の産業全体と比べ、遅れていることから、賃金引上げを行うためにも診療報酬の大幅なプラス改定が必要と訴えた。全日病がまとめた「民間病院の賃金引上げの実態」によって、①ベースアップの実施率②賃金の改定額③賃金の改定率─のいずれにもおいても、その他の産業全体の伸びを下回る結果となったことを踏まえた。
調査は全日病会員の民間病院(2,405病院)を対象に全日病が集計し、日本医師会総合政策研究機構が分析した。
ただ病院により正確に実態を把握できていない項目があり、項目ごとに回答数が異なり、全体では22.3%の回答率となった。アベノミクスが始まった2012年から2016年までの全産業と民間病院の状況を比べている。2017年は民間病院の状況のみ記載した。
ベースアップの実施率をみると、2012年は全産業合計(管理職以外)が12.1%、民間病院(医師以外)は12.9%で両者に差はない。それが2013年以降に次第に差が出てくる。2015年には、全産業合計(管理職以外)が25.0%であるのに対し、民間病院(医師以外)は16.0%であり、9ポイントの開きがある。管理職でも全産業計は20.5%で、上昇しているのに対し、民間病院の医師は6.7%にとどまる。
全日病の猪口雄二会長は、「ベースアップだけでなく、定期昇給も十分にできていない中小病院が少なくないのではないか」と述べた。
賃金の改定額(1人当たり改定額の加重平均値)をみると、2012年は全産業合計で4,036円、100 ~ 299人規模の全産業合計で3,563円、民間病院で3,866円であり、民間病院はほぼ中間にある。しかし2015年になると、全産業合計が5,282円、100 ~ 299人規模の全産業合計が3,947円、民間病院が3,747円で、中小企業の全産業合計に追い抜かれる形となる。2017年で民間病院は3,544円で、さらに下がっている。
賃金の改定率(1人当たり改定率の加重平均値)の開きは、さらに目立った。2012年は全産業合計、100 ~ 299人規模の全産業合計、民間病院とも1.4%で並んでいた。それが2016年になると、全産業合計で1.9%、100 ~299人規模の全産業合計で1.8%、民間病院で1.3%だった(表参照)。
これらの結果から、「我が国の産業全体が2014年以降、明らかな賃金の改善傾向がみられるのに対し、民間病院の賃金の引上げの改善は遅れている」と結論した。猪口会長は「診療報酬の要件を満たすために努力して、人を増やせば人件費が上がり、経営を圧迫し、1人当たりの賃金が増やせない。診療報酬の専従要件の緩和など柔軟な対応が必要であるとともに、診療報酬の底上げが必要だ」と訴えた。
全日病ニュース2017年12月1日号 HTML版
[1] 民間病院の賃金引上げの実態 調査報告書
https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/171116_2.pdf
調査実施概要. (1)調査名. 民間病院の賃金引上げに関する緊急調査. (2)調査主体.
全日本病院協会. 分析協力. 日本医師会総合政策研究機構. (3)目的. 民間病院
における職員のベースアップをはじめとする賃金引上. げについて、過去から直近に至る
推移を明らかにし、適切な病院人. 件費の財源確保に関するエビデンスを得ることを目的
とする。 (4)対象. 全日本病院協会会員病院のうち、以下の開設主体に属する全会. 員
2,405 病院。 公益法人 62 施設、医療法人(社会医療法人、特定医療法人含む)2111
施設、.[2] 民間病院の賃金引上げの実態(概要)
https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/171116_1.pdf
民間病院の今回の調査結果と、厚生労働省「賃金引上げ等の実態に関する調査」の全
産業. 計を比較した。(以下、「全産業計」は厚生労働省の調査結果。) • アベノミクスが
始まった2012年以降で比較すると、ベースアップの実施率は、全産業計で. は、2014年
以降、大きく改善しているのに比べ、民間病院の改善は小幅で力強さがない。 4. ※集計
対象病院数は、図表1の「 ベースアップの実施状況(定昇制度がある病院)」の通り。
0.0 %. 5.0 %. 10.0 %. 15.0 %. 20.0 %. 25.0 %. 30.0 %. 2012年. 2013年. 2014年.[3] 病院経営に必要な高齢医療従事者の活用ガイドライン
https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/120310_1.pdf
していくとともに、民間病院業界(全日病)全体で「業界に特化した人的 .... [図表3-2]
老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げ. 年金制度改革により厚生年金の支給開始
年齢が段階的に引上げ. 2001年度から始まっている. 年金支給年齢の引上げ. 1. 高齢
者の活用推進が求められる背景. 「2007年問題」から「2013年問題」へ ..... に適合した
持続可能な職場で長期的に働き続けることで(例えば、定年後も有期雇用の「高度専門
能力活用型」パターンで働き続けることで)、その医師が生涯で手にする賃金(「生涯賃金
」).
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