全日病ニュース

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訪問リハに対する医師関与の実効性確保へ見直し案示す

訪問リハに対する医師関与の実効性確保へ見直し案示す

【厚労省・介護給付費分科会】

 2018年度介護報酬改定に向けて検討を進めている社会保障審議会・介護給付費分科会(田中滋分科会長)は、11月1日、8日、15日、22日に会合を開き、介護保険の各サービスについて、厚生労働省が示した基準・報酬の見直し案を検討した。
 1日には、訪問介護について議論。
 厚労省は、◇生活援助を中心に担う人材の新研修の創設◇生活機能向上連携加算の見直し─などを論点にあげた。
 新たな研修は、生活援助中心のサービスを行う上で必要な知識等に重点を置く。自宅における利用者の状態を把握し、関係者と情報共有するため、サービス提供の際に観察すべき視点を習得するほか、認知症高齢者に関する知識を学ぶ。来年4月の導入を予定している。
 また、生活機能向上連携加算は、取得率が低いことから見直しを行う。現行の訪問リハ・通所リハ事業所のOT・PT・ST による訪問に加えて、リハビリを提供している医療機関のOT・PT・ST および医師による訪問に対する評価を追加するとともに、現行の単位を引き上げる方向を提案した。
 また、リハ専門職や医師が利用者宅を訪問することが困難であっても、ICTを活用した動画等にもとづいて定期的に助言できる体制を整え、その助言を踏まえてサービス提供責任者が訪問介護計画を作成(変更)することに対する評価を同加算に新設することを提案した。
看護補助者の同行訪問を評価
 11月8日の会合では訪問看護や訪問リハ、通所リハなどについて議論した。
 訪問看護について、厚労省は①看護体制強化加算の算定要件である緊急時訪問看護加算等算定者割合の算出期間(現行3カ月)を長くする②同加算にターミナルケア加算の算定者数が多い場合を評価する新区分を設ける③2回目以降の緊急時訪問に早朝・夜間、深夜の加算を算定できる対象者(現行は特別管理加算算定者のみ)を拡大する④複数名訪問加算に看護補助者の同行を評価する区分を新設する─などの見直し案を示したほか、⑤「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」に沿って行うことをターミナルケア加算に明示する考えを示した。
 訪問リハに関しては、医師関与の実効性を確保する視点から、①医師は毎回のリハ実施に当たって詳細な指示を出すとともに、3月以上の継続が必要と判断する場合はリハ計画書に通所サービスへの移行見通しを記載することをリハマネジメント加算の算定要件に追加することを提案。
 また、②リハマネジメント加算(Ⅱ)の算定要件にあるリハ会議への医師参加としてテレビ電話を認める③同加算の要件である家族・利用者に対する説明に関して、医師の指示を受けた理学療法士等が代行できるものとするなどの見直し案を示した。①と②の見直しは通所リハにも適用する考えだ。
 厚労省は、さらに、④訪問リハ事業所に専任の常勤医師を配置することも提案した。ただし、事業所である病院、診療所、介護老健施設の常勤医師との兼務を認めるほか、病院・診療所が併設する介護老健施設には当該病院・診療所の常勤医師との兼務を認めるとしている。
特養の看取りで評価新設を提案
 11月15日の会合では、介護老人福祉施設について議論した。厚労省は、(1)一定の要件を満たした上で配置医師による早朝・夜間・深夜の診療の評価を新設する(2)夜勤職員配置加算に看護職員または認定特定行為業務従事者を配置していることの評価を加える(3)一定の要件を整えた施設における看取りをより手厚く評価する(4)個別機能訓練加算にリハ提供医療機関のリハ職・医師等と特養職員が共同で個別機能訓練計画を作成し、多職種が共同して、計画的に機能訓練を実施することに対する評価を新設する─などの案を提案した。
介護医療院の報酬・基準を了承
 11月22日の会合では、2018年4月に創設される介護医療院の報酬・基準案について議論し、厚労省案を概ね了承した(詳細は次号)。療養病床等から介護医療院への転換を促進するため、転換した場合の療養室の床面積や廊下幅等の基準緩和を行うことや新たな加算を導入することを提案した。
 新たな加算は、生活支援の充実など転換に伴うサービスの変更内容等を利用者および家族、住民等に丁寧に説明する取組みを評価する。転換時期を起算日として1年間に限り加算の算定を可能とする。加算の設定は2021年3月末までの予定。
 介護医療院の基本報酬は、介護療養病床と同水準の医療提供や、充実した療養環境が求められることを踏まえ、評価していく方針だ。

 

全日病ニュース2017年12月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2015年12月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2015/151215.pdf

    協の案に賛成する。SNWを提案したが、. それにこだわるつもりはない」と賛意. を示す
    など、検討会は、日医・四病協. 案と厚労省案を軸に、新たな類型の具. 体化に向かう
    ことになりそうだ。 検討会は 12月25日の会合で新類型の. 論点を深掘りし、1 月半ばの
    .... に続くもので、要望項目は8点からなる。 そのうちの5項目は第1次の要望項目を
    再掲、新たに3. 項目を追加した。 改定要望項目は以下のとおり。 1.入院基本料の病棟
    群単位での選択制の導入. 2.入院基本料等における「重症度、医療・看護必要度」. の
    見直し.

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2014年2月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2014/140201.pdf

    2013年12月27日 ... 委員会・厚生労働部会合同会議(1月21. 日)で、「目的が重複する既存の補助金. 事業
    は13年度末に廃止し、基金の方で. 対応する」という厚労省の方針に、「基. 金は改定率
    を補うもの。診療報酬と同. じ使い方でないと困る」などの不満が. 相次いだ。 .... を除き、
    日医との立場の相違は「大. 異小同」で、本音の所では相容れ難. い意見の相違が多々
    存在する様に思. われる。看護協会を始め、各種医療. 関連団体とのスタンスの差異も
    枚挙. に暇が無い。担当官庁の厚労省に至. っては、本来可能な限りの ...

  • [3] 厚労省

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2011/111115.pdf

    厚生労働省は、11月9日と11日の中医協総会に、2012年度改定における在宅医療. の
    論点を提示。その中で、「医療と介護の連携 .... 老健施設の12年度介護報酬改定. 11月
    10日の介護給付費分科会に、事. 務局(厚労省老健局老人保健課)は、2012. 年度
    介護報酬改定における介護療養型医. 療施設と老人保健施設の基準・報酬見直. し案を
    示した。(3面に詳細). 見直し案は、①介護療養型医療施設. の評価を適正化する、②
    介護療養型医 .... 効率的な訪問看護―看護補助者との. 同行. 訪問看護のケア内容の
    中で ...

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